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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 4
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えた。
刀袋の中には一振りの日本刀が収められている。木暮の愛刀である二つ銘則宗は江戸時代以降に作られた打ち刀だが、ここにあるのはそれ以前の時代に作られた、太刀に分類される日本刀だった。
はるか昔に鬼の腕を斬り落としたと伝わる、伝説の名刀。そして鏡が使役する式神シェイバの形代でもある日本刀。
その名は髭切。
ちなみに太刀は刃を下にして腰帯にぶら下げるようにつけるもので、これを佩くといい、打ち刀は刃を上にして鞘に差し込むというつけかたをして、これを差すという。
「ああ? シェイバ、おもえもつまらねぇよなぁ、こんな雑魚ばっかりじゃよ。斬りてぇよな、刺してぇよな、薙いで、かち割って、屠りまくりてぇよな」
シェイバは鏡の式神ではあるが、通常任務に持ち出すことは禁止されていて、普段は陰陽庁が管理している。
それが今、手元にあるのは今夜の霊災が広い範囲で猛威をふるい、出現する動的霊災の数も多い。つまり特別な任務だからで、この一件が片づけば陰陽庁はふたたび鏡からシェイバを取り上げてしまうだろう。
シェイバは血を吸いたがっている。
鏡もまたシェイバの力をぞんぶんに振るい、味わいたい。そのためには弱い霊災など何体まとめてかかってきてもだめだ。もっともっと強いやつと戦わなければ意味がない。
戦闘をとおして、さらなる力を身につけるのだ。技を知り、戦いを学び、みずからの血肉にするのだ。霊災は鏡にとって敵ではない。刈るべき獲物だ。
おのれの糧となる獲物にすぎない。
霊災を糧にしてさらなる強さを求め、高みを目指す。それが鬼喰らい(オーガ・イーター)、鏡伶路という男だった。
それからも何体かの霊災を処理してまわる。
ハンス・ルドルフ・ギーガーのデザインした地球外生物のようなもの、機関銃を乱射する殺人ピエロ、清朝の官服を着てぴょんぴょん飛び跳ねる屍、赤と緑の横縞のセーターを着た焼けただれた顔の鉤爪男、地上を泳ぐ鮫、首のない騎士、首のないライダー、不定形のブロブ――。
ホッケーマスクに肉切り包丁やチェーンソーを手にした巨漢の霊災など、もう十体近くも祓った。
やたらと呪詛を連発してくる、長い黒髪を前にたらして顔を隠した女性型霊災を祓い終えた鏡は、今夜の仕事に勝手に終止符を打とうとした。
「あー、うぜぇ。めんどくせぇ。……もうバックレるか。こんなクソ虫どもの相手、するだけ時間の無――」
ぞわり、全身の毛が逆立つ感覚。強大な気を近くに感じた。
鬼気にも似た、鏡にとってなじみ深い性質の気。極上の獲物が近くにいる。
音も立てずに刀袋のひもを解き、シェイバを抜き放つ。抜けば玉散る氷の刃が夜気に触れて、よりいっそう冴え冴えとして見えた。
「殺る気まんまんって感じじゃないか、おっかいないねェ」
!?
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