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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 4
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どではないが、高い呪力を感じさせる。
「クックック……」
そのままなにごともなかったように夜の街を早足で駆けながら、凶暴な笑い声をもらす。
青年の齢は二十歳前後だろうか、銀色に染めた髪を短く刈りこんでいて、夜だというのにミラーコーティング・レンズのサングラスをかけていた。指には無数のリングがはめられ、耳には複数のピアスが、それ以外にもたくさんのシルバーアクセを身につけている。
ファーつきのジャケットにシルバー・バックルのスタッズベルト、ウォレット・チェーンのからまるデザイン・ジーンズに、光沢のあるエンジニアブーツをはいていた。
なにより禍々しいのはひたいにある×印のタトゥーだ。まるで刀傷のような剣呑な印象をはなっている。
鏡伶路。それがこの青年の名前だ。
彼もまた独立祓魔官であり、『鬼喰らい(オーガ・イーター)』の異名を持つ十二神将の一人だった。
「GAAAAッ!」
雷鳴のような雄叫びをあげて青銅の皮膚をした一つ目の牛が物陰から突進してくる。
しかし鏡は動じない。わずらわしげに、そして小馬鹿にするように鼻を鳴らすと、片手を振り上げる。空中を爪で引き裂くように横薙ぎに、ついで人差し指から小指までの四本を縦に。呪力をおびた指先が描くのは、早九字の格子紋。ドーマンだ。
その巨体で押し潰さんと体ごとぶつかってきた魔牛だったが、呪力の障壁に衝突してラグをはしらせる。格子紋は空中で赤い光を放ち、魔牛の体にめり込んだ。
「GUGAAAッッッ!」
天突き器に押し出される寒天のように肉が押し潰され、ひしゃげ、いっそう激しいラグを生じて消滅した。
呪文の詠唱もなければ、印の一つも結ばない。略式だったが、その威力は絶大だった。
弓削にせよ木暮にせよ、この鏡にせよ、動的霊災をいともたやすく祓っているのでかんちがいしそうになるが、フェーズ3の霊災というのは並の祓魔官ならば一部隊でも勝てるかわからない大敵だ。
それだけ十二神将に列せられる者たちの力量がすごいのだ。
『将』の一字は伊達ではない。一人が一軍に匹敵する強さを持っている。だからこそ神将と呼ばれるのだ。
「ぬりぃ……」
ぬるい。と、鏡はそう口にした。
「どいつもこいつもぬりぃんだよ。姿形はユニークだが、中身は雑魚ばかりじゃねぇか」
都内各地を荒らしまわるハロウィン仕様の百鬼夜行。鬼や天狗、牛鬼や鵺や野槌といった比較的頻出する霊災とはことなる外観をした、前例のない異形の動的霊災の出現に心躍らせて現場に出張った鏡だったが、今のところ彼の戦闘欲を満足させてくれる獲物には遭遇していない。
ひさしぶりにクールなバトルを楽しめると思っていたが、とんだ拍子抜けだ。
すると、鏡の手にしていた刀袋が、その思いに応じるかのように震
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