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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 4
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が呪だ。

 呪術師が軽んじるわけにはいかない。
「黒龍、獺祭、醴泉、鳳凰美田。離れすぎだ、集まれ!」

 木暮が夜空にむかって叫ぶ。

「カァッ! わかってる。心配するなゼンジロー」
「カァカァ、あの鳥女。ただ速いだけで弱い!」
「楽勝、楽勝」
「もうすぐ終わるッ」

 宙を舞っている身体の大きな四羽のカラスたちが応えたかのように見えた。だがカラスではない。くちばしのある黒い頭や羽ばたく羽根はカラスのものだが、頭の下には人間のような胴体をもち、そこから手足がはえていた。
 しかも身につけているのは防障戎衣。サイズこそ小さいがそのデザインは祓魔官の制服そのもの。
 彼らは木暮の式神である烏天狗たちだ。
 烏天狗が四羽の鳥。いや、こちらもただの鳥ではない。顔から胸までが人間の女性で、両腕が翼、下半身が鳥という半人半鳥のハーピーと空中戦をくり広げていた。

「キィーッ! 小うるさいカラスどもめ、皮をはいで喰ってやる!」
「カァッ! おまえらこそ手羽先をもいで汁物に入れてやるカァッ」
「クルックー、肝臓を抜き取って塩もみして食べてやるックー」
「カァカァッ、おまえのササミでコブサラダを作ってやるカァッ」
「チュンチュンチュン、砂肝チュンチュン、コリコリチュンチュン、美味しくチュンいただいてやるんだチュン」
「カァッ、ももを唐揚げにしてやるカァッ」
「ピヨピヨピヨピヨ……、ピヨッ!」

 縦横無尽に空を駆け。羽と羽、爪と爪をぶつけ合う空中戦の合間にも、たがいに舌を動かしてピーチクパーチク舌戦を交える。
 カァカァカァッ、クルックー、キィーッ、カァーッ、チュンチュンチュン、チュチュンチュチュンがチュン、クルックー、カァーッ、カァーカァー、キィーッ、クルックー、ピヨピヨピヨ――。
 ひじょうにやかましいことこのうえない。
 空の高い、ひらけた場所にもかかわらず共鳴し合って乱反射しているようにたがいの鳴き声が響く。まるでハウリングだ。
 それもそのはずで、この鳴き声には呪力が込められている。霊的な抵抗力の弱い人間ならば聞くだけで騒音にさいなまれ行動不能になるだろうし、呪術師であっても集中を乱され術の行使がむずかしくなる。そんな類の呪が込められている。
 これもまた呪術戦だった。

「キィーッ! これじゃあらちがあかないよ。オキュペテー、ケライノー、ポダルゲー。一気に蹴散らすよ! ジェットリプラーアタック!」
「「「ラジャった!」」」

 長女アエローの号令一下でハーピー四姉妹が縦一列にならび、鴉天狗の一羽に狙いをさだめ、突進。
先頭が一撃をくわえると同時に列から離れ、すぐさま後ろの二番手が攻撃。攻撃を終えた二番手も列から離れ、三番手、四番手……。と続くはずだった連続攻撃は結局不発に終わった。


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