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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 3
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たからだ。
 京子の全身から放射状に呪力が吹き荒れ、つたをのばす木行符と後から打った火行符。さらには二体の仁王まで巻き込んでいっせいになぎ払った。
 まだ効果が持続していたセーマン障壁の術式を組み換え、強度をたもったまま空間から外して、たわめ。投網のように周囲に放射したのだ。
 攻撃的結界。
 さしもの祓魔官も結界をこのように使うとは予想外だったようで、驚きを隠せない。だがそれでもその行動に遅滞は見られなかった。
 結界に捕われた仁王の操作はあきらめ、自身の呪術に集中する。呪符ケースから惜しげもなく呪符を投擲。水行符の生んだ水流を吸収し木行符が巨木となり、巨木を燃やした火行符は巨大な火柱に変化し――。
 土行符を投入しようとしたところで祓魔官の身体が呪力による衝撃にのけぞった。五行の連環がとだえる。

「なん、だと!?」

 ふたたびの衝撃に姿勢をくずし後退を余儀なくされる。不動金縛りの術が連続して襲いかかる。祓魔官はそれが魔女の肩にとまったカラスからの呪術だと思った。使役式が主の援護をしていると思ったのだが、ちがった。
 魔女だ。魔女が呪文詠唱も手印もなしに、それどころか呪力を練る気配もなしに矢つぎ早に不動金縛りを放ってくる。そのぶん術の完成度は低かったが、ここまで連続してくると、もはや一つの巨大な呪だった。不動金縛りの弾幕陣だ。

「――オン・ビシビシ・カラカラ・シバリ・ソワカ」

 魔女が雑な不動金縛りを放ちながら、さらに本式の不動金縛りの術を行使したことは、さらに祓魔官を驚かせた。
 どのような術理を組めばそのようなことができるのか? どれだけの霊力があればこのような術の使い方ができるのか? 無数の呪に打たれ目の前で転法輪印、次いで呪縛印を結ぶ魔女の動きを止めることができないことに怒りとともに恐怖が込み上げてくる。
 眼前の魔女は人の姿をした霊災ではないのか!?
 次の瞬間、痺れるような衝撃が祓魔官を打ちすえ、身体の自由を完全に奪った。

「なかなか強い相手だったな」
「でも祓魔官を相手に呪術戦だなんて、われながら不良じゃすまないわね」
「なぁに今夜は祭りだ。このくらいなら無礼講のうちさ」

 戦いが終わるのを待っていたかのようなタイミングでホールの中央に穴が開いた。周りで呪術戦をおびえて見ていた魔物たちはわれ先にと飛び込んでいく。よほど怖かったのだろう。

「小隊長っ!」

 異界へと消える魔物にかわって制服姿の祓魔官たちがホールになだれ込んできた。

「おっと、これ以上の模擬戦は不要だ。とっととずらかろう」
「ずらかるって……。んもー、ほんとに悪い人みたいじゃない」

 京子たちも穴へと入る。 

「くそっ、ほんとに今夜の霊災は逃げ足が速いな」
「ヒット・アンド・アウェイのつ
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