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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 3
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駄にあるライブラリーのすみで体中にあざを作った半裸の少女がむせび泣いているのを発見し、一気に酔いがさめた。
 聞けばバイト先の店長からセレブの秘密パーティーをやるといって誘われ、多額の報酬を提示されたのだが、いざ行ってみたら乱交と薬物の服用を強要され、断ったらさんざん殴られたので必死になって逃げてきたというのだ。
 ハロウィンのいたずらではすまされない。自分は陰陽師で呪術の心得があると言って、おびえる少女を安心させ、無法のおこなわれた部屋へ案内させる。
 館内ホテルの上層にあるセミスイートの一室。
 京子が部屋をノックしてドアスコープにむけて胸もとをちらりと見せると、すぐにドアが開いた。
 部屋の中からよどんだ空気が流れてくる。甘く、それでいて不快な臭いがツンと鼻をつく。

「ブラン・エ・ノワール。サンクシオン!」

 京子の護法式である白桜と黒楓が召喚される。もとより日本の鎧武者と西洋の甲冑騎士を足して割ったような姿形をしていた二体だが、今回はカポーテをひるがえしたマタドールの格好をしていた。
 先ほどソルシエールという魔女を意味するフランス語の偽名をもちいたのに着想を得て、白桜と黒楓もハロウィン仕様の仮装をほどこしておいたのだ。
 一瞬、とは言わないが、ほんの一・五瞬ほどで三人の若い男たちが床にキスすることになってしまった。一人は鼻血の噴き出る顔を押さえて床をころがり、一人は股間を押さえて口から泡をこばして悶絶し、一人は胃液を逆流させて全身をひくつかせていた。

「ちょっとやりすぎちゃったかしら……?」
「気にすることはない、数人がかりで女の子を痛めつけるようなクズには自業自得だ。それに意識があると見張っておく必要があるから気絶させとくのが妥当だろう」
「ひぃぃぃーッ!?」

 部屋の奥にいた四人目の男が腰を抜かして後ずさる。
 部屋には注射器やスポイトやパイプ、白い粉や香草の入った袋が散乱していた。秋芳はカラスの身にもかかわらず床に落ちていた携帯端末を器用に拾い上げ、中のデータを確認した。男たちが少女に暴力をふるうさまが撮られていて、男たちは楽しそうに笑っている。

「麻薬取締法違反、および婦女暴行の現行犯で逮捕だな」
「逮捕って、お、おまえたちは警察なのかよ!?」
「いいえ、ハロウィンの魔女よ。二度と女性に悪さをできないように、不能の呪いをかけてやろうかしら。それとも物理的にちょん切られたい?」
「ひぃっ」

 京子が男をおどかしている間に秋芳は服をかきまわして身分証やクレジットカード類を調べた。

「ここに住んでいるのか。実に裕福そうだな、職業はなんだ?」
「マルチクリエイティブミュージシャンだ。音楽と映像と演劇と詩の完全なる融合を目指して創作活動をしているアーティストでクリエイターでタレント
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