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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 3
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?」などとそらっとぼけたりもした。
 今のエロ創作家たちの「これは幼女じゃなくてなん百年も生きている大人のエルフです」「これは人じゃないです、ケモノです」というような理屈をすでに実践していたのだ。
 とうぜん幕府からは目をつけられ、なんども尋問されたり罰金を取られたりされたが、最後まで反骨をつらぬいた。
 命がけのエンターテイナーである。現代の創作家たちも見習って欲しい。
 ゴッホの『夜のカフェテラス』、フェルメールの『合奏』、井上直久の『イバラード』シリーズ――
たがいの好きな絵についての感想にはじまり、絵画と呪術の関連性などを語り合いながら広大なフロアを歩いていると、一軒のバーを発見した。

「バカラバー? ……グラスもシャンデリアも調度品も、みんなバカラクリスタル製かよ。ブルジョア臭ぷんぷんさせやがって!」
「べつにいいじゃないそのくらい、あなただってどっちかっていうとブルジョア側の人間でしょ? 名門賀茂家の人なんだから。もっと鷹揚にかまえなさいよ。それより、ねぇ。ここのお店、お洒落だしちょっと見てみましょう」

 店内はうす暗く外の夜景が良く見えた。ゆったりと座れそうな大きめのカウンター席にソファ。実にオーセンティックなスタイルのバーだった。

「わー、すてき! すっごい良い雰囲気……」
「まぁ、内装と外観の趣味の良さだけは認めてやるか。さて肝心の酒の品ぞろえは、と……」
「どう、合格?」
「普通だな。可もなく不可もなく、だ」
「ふ〜ん……。ねぇ、秋芳君。あたしのどが渇いちゃった。なにか美味しいの作ってくれない?」
「おいおい、この身体でカクテルなんか作れっていうのか?」

 京子の肩にとまった秋芳カラスが羽を広げて自身の大きさをアピールする。

「作れないの?」
「いや、まぁ、作ろうと思えば作れるけど、シェイカーは振るえないから、そんなに本格的な味は期待しないでくれよ」
「それどもいいわ。作ってちょうだい」
「はい。うけたまわりましたよ、お姫様」

 カラスの身から一時的に小人の影法師に変わった秋芳はジン、ラム、テキーラ、ウォッカ、ホワイトキュラソーにコーラとレモンジュースをくわえてステアしたあと、クラッシュド・アイスをたくさん詰めたバカラのコリンズ・グラスにそそいだ。
 ロングアイランド・アイスティーのできあがりだ。あまりアルコールに強くない京子のために、コーラとレモンジュースは多めにしてある。
 紅茶を一滴も使わずに紅茶の風味と色を再現した不思議なカクテルが京子ののどを潤す。

「んー、美味しい!」
「今はそれ一杯にしとけよ」
「ええ、近いうちに生身の秋芳君お手製のカクテルをいただくわ」

 それからほろ酔い気分であちこちを見て周っていた京子だったが、空間の広さと蔵書数だけは無
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