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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 3
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ように大勢の力を借りず、ただ一人で。
準備はととのった。あとは百鬼夜行が出て来るのを待つだけだった。
『Trick or Treat!』
「ひゃーっ、どうか命ばかりはお助けを!」
「きゃー! お菓子ならあげます」
「ひーぅ! 柿ピーはお菓子にはいりますか!?」
狼狽しつつもお菓子をさし出す人は意外と多いのはまさにハロウィンが日本に定着した証左なのだろうか、もらう物をもらえばいたずらはできない。最初とその次のパーティー会場ほどにはぶっ飛んだ乱痴気騒ぎにはならなかった。六本木に行くまでは。
直立した棺桶を思わせる外観の六本木にある高層オフィスビル。集合住宅、ホテル、テレビ局、映画館、美術館などの文化館。その他さまざまな商業店舗などで構成されている超大型複合施設。
芸能界の大物やトップミュージシャン、若くして成功した企業家といった人々が数多く居住する高所得者の象徴のような建物。
そんな場所のそこかしこで霊災が猛威を奮っていた。
陰陽庁からの再三にわたる避難勧告を無視して『自分だけは安全』という根拠のない自信のもと、建物内に居すわっていたセレブリティの方々が狂乱と狂騒の坩堝に巻き込まれる。
「なにをするだァーッ!」
「まあーああぁ、まあああーあぁ」
京子は魔物らに人を傷つけるような悪戯をきつく禁じたあと、以前からこの建物自体に興味があったということもあり、同ビル内にある美術館へ散歩がてらに足を運んだ。
だが今は聞いたことのない名前の現代美術家の個展がひらかれており、いささか残念な気になった。
「あたし現代美術の良さってさっぱりわからないわ。なんでこんな気味の悪い人形がアートなの?」
自分の母乳で縄跳びをしている等身大の美少女フィギュアを見て素直な感想を口にする。
「これはなんだろうな、多産や豊穣の象徴と見えなくもないが。……まぁ、現代美術ってやつは既存の概念にとらわれない表現を目指した結果、ただたんに奇をてらっただけなんじゃないか。てしろものが多いよな」
「もっと普通の美術展なら良かったのに。……あたし、クロード・モネと東山魁夷の絵が好きなの。なんて言うか、二人ともすごい優しい絵を描くのよ。構図もおだやかだし、見てると落ち着くわ」
「俺は歌川国芳が好きだな」
江戸時代末期の浮世絵師、歌川国良。数多くの作品を世に生み出した人物で、秋芳は江戸っ子らしい反骨精神が込められた『源頼光公館土蜘作妖怪図』が好きだった。
この作品、平安時代の武士、源頼光と配下の四天王による土蜘蛛退治をテーマにしたものと思いきや、幕府の弾圧を風刺したものになっている。
国芳はほかにも美人画や役者絵などが禁止されたさいに動物を擬人化したキャラクターを描き「これは人ではなく動物ですがなにか
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