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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 3
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日の本の呪術師、国家を護り民人を救う陰陽師の腕の見せ所だ。後世の人々の物笑いの種にならぬよう、各員奮起すべし!」

 倉橋源司は決定したことを伝え、それを実行に移させた。それ異を唱える者も、さえぎる者も、この場には一人もいなかった。





 異界。
 京子は風の流れを読んで帆を立てるように、潮の流れに竿をさすように、霊脈を見て、その流れに合わせて百鬼夜行の群れを誘導する。
 霊脈から霊脈へと、決して力づくではなく巧みに移り歩いていた。

「まずは原宿。それから三軒茶屋、六本木、下北沢、恵比寿、また原宿の順に廻ってくれ」
「……いいけど、その順番になにか意味でも……て、五芒星?」

 渋谷を中心にした五つの街。それらを結んだ線が五芒の形を象る絵が京子の脳裏に浮かんだ。

「この怪異。夜明けとともに消滅するとは思うが、念のため修祓する準備はしておこうと思ってな」
以前、犬神筋の呪術師に使った北斗七星陣のように、陣図をもちいた呪術はおうおうにして強力だ。秋芳はセーマン陣を敷き、いざという時はそれで百鬼夜行を修祓しようというのだ
「ねぇ、その時はやっぱりあたしが祓うの?」
「そうしてくれ、さすがにこの式神越しじゃあいつもみたく術は使えないからな」
「これだけの数を修祓するとなると、大変よねぇ……」

 ちらりと後ろを顧みれば、いるわいるわ異形の群れ。ハロウィン仕様の動的霊災が雲霞のごとくひしめいている。

「あれにしようかしら、それとも……」

 先導する魔女が自分たちをどう修祓するか、どんな呪術を使うかを考えているとは露ほども思わず、小躍りし談笑しながらついてくる魔物たちを見ると秋芳は少し気の毒になった。

「苦しまず強力な呪で祓ってやれ。この前教えた尊勝陀羅尼の調伏法を使おう」

 尊勝陀羅尼。帝国式陰陽術に数ある陀羅尼の中でも至高とされる尊勝仏頂陀羅尼。この真言を唱えることによって滅罪生善、無病息災、身心健全などなど。多くの利益が得られるとされるが、特に魑魅魍魎の類に対して非常に有効な真言で『今昔物語』に遭遇した男が尊勝陀羅尼の札を身につけていたおかげで難を逃れたという話が載っている。

「あれならバッチリよ。もっともあんまりこの子たちに使いたくはないんだけど……」

 霊災を『この子』呼ばわりである。みずからも魔女の装いをし、ハロウィンの空気になじんでいるからそのような気持ちになるのだろうか。

「なに、俺の予感では夜明けとともに消え去る。ほぼまちがいない」
「秋芳君の予感って、あたるの?」
「この予感はあたる。そんな予感がする」
「またてきとうなこと言ってる〜」

 そんなやり取りをしているうちに気の流れが早くなった。
 遠くに小さな光が、うつし世につながる穴が見える
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