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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 3
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もりなんだろうが、倉橋長官の儀式が始まったから、もうおしまいさ」
「あ、おい。小隊長が倒れてるぞ!」
「なんだって?」
魔物が引き揚げ、駆け寄って来る部下たちの姿を見て安堵したことに対して、小隊長と呼ばれた祓魔官は恥じた。そして二度と無様な姿をさらさぬよう、いっそうの精進を重ねることを心に誓ったのだった。
穴を抜けて異界。霊脈にもぐったとたん異変に気づいた。気の流れが異常なほどに激しくなっている。さっきまでのそれが小川のせせらぎだとすると、今のこれは逆巻く大河。アマゾン川のポロロッカのようだ。
「ちょ、なんなのよ。これ!?」
京子たちは霊波に翻弄され、どこかへと押し流されてゆく――。
人造式に意識を集中していた秋芳の耳に遠くから歓声が聞こえた。
スタジアムで応援していたチームが得点したさいに、人々が発する喝采。そんなたぐいの歓声。
式のほうものっぴきならない状況なのだが、その歓声が妙に気になったので様子を見に部屋から出る。天岩戸神話の古来より、人の興味を引き付けるのは人のざわめきだ。
食堂のテレビ前に寮生たちが集まり、興奮気味に語り合っていた。
手近な一人に話しかける。
「いったいなんなんだ、この騒ぎは。街頭テレビで力道山とシャープ兄弟の試合を見ている人たちごっこでもしているのか?」
「そんなごっこ遊びねえよ! つうかいつの時代の話だよ! ……なんだよ、賀茂は知らないのか? 陰陽庁が霊脈をあやつって修祓するとか、すげぇことしてるの」
霊脈をあやつる。その言葉を聞いた秋芳はすぐに自室に戻ってテレビをつけた。
『ウハウハで行くか?』
『ザブーンだな!』
「ええい、この非常時にL字テロップも出さずになにを放送してるんだ!」
普段はL字テロップに文句を言う秋芳が自分勝手なことを言ってチャンネルを国営放送に切り替えて、なにが起きているかを確認する。
「――まさか、こんなにも広い範囲に出現していたのか……」
今夜出現した霊災について伝えるテロップが延々と流れている。
自分らが現れた場所以外にも似たような連中が現れ、似たようなことをしているようだ。
ハロウィン仕様の霊災は京子が率いている魔物たちだけかと思ったが、そうではないということを、秋芳はたった今知った。
「大元帥法に火界咒……。大盤振る舞いだな、おい」
霊脈の変動はこの修法によるものだったのか。
このままでは京子が火界咒に巻き込まれる。なんとかしなければ――。
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