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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 3
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うざわめきが強くなる。
「諸君、静粛に」

 おだやかで、それでいて力強い響きの込められた発せられたとたん、あたりの喧騒は水を打ったかのように静まりかえった。
 一言、たった一言で場の空気を支配した主が職員たちの前に進み出る。
 砲に袴、石帯の束帯姿。陰陽師の正装をしたその人物は、そこにいるだけで周囲の人間に緊張を強い、厳粛にさせる、威圧的な気に満ちていた。
 陰陽庁長官兼祓魔局局長。十二神将の筆頭にして当代最高と謳われる国家一級陰陽師。倉橋源司その人だ。
 倉橋の後ろには僧形の、袈裟を着た法衣姿の宮地磐夫がひかえている。
 最高と最強の陰陽師が、そこにいた。

「これより大元帥法をとりおこなう」

 !?ッ

 声にならないざわめきが聴衆の間に広がる。
 大元帥法。大元帥明王アタバクを本尊として、おもに朝敵や外寇の調伏。国家安泰を祈ってされる、極めて強大な修法。本邦の歴史上、最後にこれがとりおこなわれたのは太平洋戦争末期にまでさかのぼる。
 それを今おこなおうというのだ。

「諸君ら一人一人の呪力をこの倉橋源司にあずけて欲しい。そうすることで大元帥法は完遂し、この未曽有の霊災を修祓することができる」

 続けて作戦の説明をする。都内で暴れる百鬼夜行は霊脈を利用して神出鬼没の移動をくり返しているため、動きがつかめない。そこで大元帥法の力によって霊脈の動きを制御し、一か所に集め、宮地磐夫の火界咒によって一掃しようというのだ。

「なおこの場にいる呪捜官は全員ヴリティホーマに搭乗し、東京都庁舎で祓魔官たちと合流。彼らとともに火界咒をおこなう宮地室長の護衛につくように」

 こんにちにおける陰陽師の第一の任務は霊災の修祓だ。呪術犯罪が専門の呪捜官ではあるが、陰陽二種の習得者ならば霊災に対する最低限の呪術を身につけている。
 戦える者は前線に、そうでない者は呪力の提供というかたちの後方支援。この配置は妥当といえた。

「風水において塔とは木気の性質を持っている。火木生、都庁でおこなわれる宮地室長の火界咒は常よりいっそう強力なものになるだろう」

 もとより不動明王の申し子、炎魔の異名で呼ばれる火炎術の達人の術が相生効果でさらに強まる。そのことに集まった人々は慄然とした。

「さらに東京都庁の上部、二つにわかれた塔をもちいることで強力な霊的音叉効果を生じさせることでも呪力が大幅に増幅されることだろう。もはや神すら焼却できよう」

 おおー。

 人々が良い意味での動揺に打ち震える中、宮路は髭の奥でこっそりと苦笑した。

(おいおい局長。仏さんの術で神を焼くとか、物騒なことは言わないでくれよ)

「おのおのが全力を出せば負ける要素など微塵もない作戦である。この倉橋源司の首をかけてもいい。われら
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