ふくろうとハムスター
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!」
無理もない。小動物をかばいつつ猛禽類の猛攻に震えるこの空間自体、もう恐怖でしかない。
「…で、でも駄目だ!今そこ開けたらハムが逃げるかも知れん!!あいつデブだから野生じゃ生きられん!!絶対に!!」
「そんなデブかよ!だからヒマワリの種は控えろと!!」
「その話、今しなきゃだめか!?こっちは後頭部から血とか出てんだが!?」
そこら辺に落ちていたくしゃくしゃのタオルをつまみあげ、血がしたたる後頭部に押し付け
――――居た。ハムの助。タオルの下に。
「……居たぞぉ!!」
タオルを放り出し、ハムに飛びかかる。胡麻団子のように肥えたデブハムは、わりとすんなり捕獲出来た。俺はそのままハムをタオルで包み込むと、メンフクロウから隠すようにハムスターのケージに駆け寄った。天袋の梁で翼を広げ、滑空の姿勢をとるメンフクロウ。なんという勘の鋭さか。俺はケージを抱えて叫んだ。
「撤退だ犬崎!!」
犬崎は弾かれたように裸足でドアを蹴り開けた。そして俺はハムの助のゲージを抱えたままドアの外に転び出る。ドアを閉める瞬間、白い悪魔の滑空が見えた気がした。
その後、暗視スコープ装備して恐怖に顔を引きつらせてハムスター小脇に抱えて走る俺達は、当然の事なのだが職務質問を受ける羽目になった。
―――あの恐怖の一夜は、おそらく俺にとって一生のトラウマになることだろう。
メンフクロウは結局、バードガーデンとか何とかいう野鳥のテーマパークに引き取ってもらえた。今にして思えばあれは、あの日の特殊な状況が生み出した俺達の異様なテンションにメンフクロウが反応しただけの『事故』みたいなものだったのだ。だがあの訳の分からん恐怖は理性で拭い切れるものじゃない。ていうか四畳半でメンフクロウと同居とか無理だ。フクロウのゲージの中で人間が生活するようなものだ。
ハムの助は今日も呑気に回し車をカラカラ回している。
「まったく…お前のせいでもあるんだぞ」
ため息と笑いが一緒に出る。…そうだ。四畳半で飼う動物なんて小鳥かハムスターで充分なのだ。
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