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俺の四畳半が最近安らげない件
ふくろうとハムスター
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ムの助があの辺りで活動していることは確かで。…再び、がさりと音がした。
「ぬ!?」「ハム!?」
二人で一斉に身構えたその瞬間、視界の隅に変なものが映った。
「……おい」
つい、声を掛けてしまった。
「ハム見つけたか」
「細いぞ、メンフクロウが」
なんというかこう、暗闇の中で突然シュッと細くなったのだ。三分の二くらいに。
「うわ細っ!なにこれどうしたの!?」
犬崎が思わず、という感じでメンフクロウに手を伸ばす。いや、やめろ多分これ警戒した時にフクロウがやる擬態行為だぞ。多分俺達が急に動いたから警戒しているのかと………。
「ひっ!?」
犬崎の短い悲鳴が上がった。
メンフクロウが突如羽をぶわっと膨らませ、じり、じり…と羽を広げて揺れ始めたのだ。
「びびったぁ…何これ、何なのこの動き!!」
「分からん!…ハムの助がロックオンされたのでは!?」
「それに何だこの音…悪魔の吐息みたいな音がするんだが!?」
羽を広げ始めた辺りから、ふしゃぁあああああ…みたいな凄い悪いガスが漏れるような異音に、カチカチと硬い物を打ち合わせるような異音が混じり、狭い四畳半を満たす。暗闇でぐりぐりと揺れる、未開部族の仮面のようなハート形の顔面。互いを掴み合うようにして四畳半の中心で震える俺達。
「……多分、メンフクロウの警戒音だ。お前が急に近づいたから」
「なっ…何とかやめさせられないのかコレ」
「気が済むのを待つしか…わっ!!」
メンフクロウの全身が急激にしなり、一瞬視界から消えたかと思いきや、それは矢のように飛んだ。咄嗟に伏せたが後頭部を固くて鋭い何かが奔り抜ける感覚の後、強烈な痛みが襲ってきた。
「うわっ血だぁ!!」
犬崎が腰を抜かして叫んだ。痛い後頭部をさっと撫でると、まあまあの量の血が掌を濡らした。…漏らしかけた。
「あっ…ぶねぇ…鉤爪がかすめたのか…!!」
姉貴、殺す。死んでるが。


「じょあああああああ!!!」


部屋の隅から突如聞こえた奇声に、俺達は震え上がった。
「なっ何なの今度はなに!?」
犬崎は恐怖が極限まで達するとおネェ喋りになるのか…。
「…あー、メンフクロウの啼き声だな…」
俺も初めて聞いた時には本当にびびった。
「啼き声!?警戒音じゃなくて!?」
今にもちびりそうな顔で、犬崎がまた叫んだ。
「ホーホーじゃねぇのかよフクロウなのに!!もう何なのこの猛禽類!!可愛い?とか飼いたい?とかそういう要素が今んところまっっったく見つからないんだけど!?ただひたすら怖いんだけど!?」
犬崎のガチ切れに呼応するように、メンフクロウもじょああああ、じょあああを繰り返す。押入れの天袋の襖に鉤爪を引っ掛けて俺達を見下ろすその表情は、相変わらず何考えているのかさっぱり分からない。
「もう限界!!俺もう帰る!
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