ふくろうとハムスター
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雪原に獲物の血が染みていく様がもう…食事中に何を見せやがるんだこの野郎と思ったものだった。
で、今現在。俺の目の届かない所で、フクロウに手頃な獲物が狭い四畳半をノコノコ歩いている。
焦った俺は級友に応援をたのんだ。そしてそいつは今、俺の横で膝を抱えているわけだが。
「ハムさん、いねぇなぁ」
『ハムスター愛好会』などという謎のサークルに所属している級友・犬崎ならばハムスターの行動パターンにも詳しいだろうと踏んで呼んでみたのだが、ハムスターの知識は俺とそれほど変わらない。というか思ったより役に立たない。
「おぅ…ちょっと引く程良く見えるな、この暗視スコープ」
犬崎が調達してきた赤外線暗視スコープを嵌めたまま、俺達は互いに顔を見合わせた。…ハムスターは夜行性だから暗くなると活発に動く、という犬崎のなけなしのハム知識に頼り、部屋の電気は消してあるのだ。深い緑色を帯びたモノトーンの視界に、同じく暗視スコープを装着した犬崎の間抜けヅラとメンフクロウの軍配ヅラが浮かび上がる。
「よく持ってたな、こんなアイテム」
「ああ、知り合いのサークルでな」
「サバゲー同好会?」
「いや、公園散歩愛好会」
「……?」
「不忍池や日比谷公園を始めとした夕暮れの公園を散歩する、ちょっと不思議な同好会でな」
「……暗視スコープつけてか」
「……何でだろうな、そう云えば」
「……その知り合い、あまり深く付き合わない方がいいぞ」
がさり
俺と犬崎は弾かれたように、紙が擦れる音がした方を振り返った。
「いたか!?」
「分からん、ていうか見失った!!」
「なにぃ!?使えないな犬崎め」
「お前も見失ったじゃねぇか」
「…メンフクロウはどうだ、反応してないか!?」
「た、多分今のところ大丈夫……ひぃっ」
犬崎が小さく悲鳴を上げた。ま、まさか既にメンフクロウの餌食に!?メンフクロウの止まり木を仰いでその足元を…
「くっ首がっ首がめっちゃ回った!!ぐるんて!!」
「そうか、見るの初めてか」
俺も初めて目撃した時には思ったより怖くてちびりそうになった。奴らの首はとんでもない角度まで回る。しかも突然、ぐりん!!と回してくるのだ。横方向だけじゃない。時に縦方向にもギリッギリまで回るのだ。フクロウの首がよく回ること自体は知っていたが、本物を、しかもメンフクロウのを見た時の恐怖ときたらもう…翌日の悪夢の材料になった程だ。
「いやいやいや、そんなことはどうでもいいんだよ!そいつが俺のハムの助を視認したのかどうかだよ!!」
本題を見失うな、ハムの助をメンフクロウの魔の手から守る為に俺達はこんな馬鹿みたいな恰好で暗闇に蹲っているのだから。
「多分大丈夫とは思うんだが…うわっまた回った」
「慣れろ。きりがない」
俺は先ほど音がしたあたりをじっと伺った。ハ
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