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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 2
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らお菓子をよこすんだな。きょ…、マイ・ソルシエール。なにかご所望の甘味はあるか?」

 ソルシエールとはフランス語で魔女を意味する言葉だ。魔女――京子はそれが自分を指す言葉だとすぐに理解した。

「ラスクとエクレア。あとミルクティー」
「さぁ、出せ」
「急に言われても無理だ」
「なら買って来い」
「わ、わかったから服を着させてくれ」
「いいぞ、だが早くしたほうが良い。さもないと現金、国債、株券、預金通帳の順序で焼いてくからな」
「不動産の権利書もあるわよ」
「じゃあ現金の次にそれをほうりこもう」
「ひ、ひ〜っ!?」

 パンツ一枚で必死になって走り、一番近いコンビニから希望の品を入手して部屋に帰った浩木が目にしたのは、開いた扉口を上にして置かれた金庫の中で灰と化した全財産だった

「ひ、ひどい。あんまりだ……」

 浩木の顔は真っ白に変色し、舌を出して狗のようにあえいで気絶した。





 東京湾。
 竹芝埠頭から東京湾を周遊する大型レストラン船の船上でくすんだ金髪の中年女性――駐日アメリカ合衆国大使――によるハロウィンパーティーを兼ねたレセプションが開かれていた。

「――ですのでクジラはホエールウォッチングの対象として見るものであり、いまや食べるものではありません。戦後の食料不足の時代ならともかく飽食の日本でわざわざクジラやイルカを虐殺して食べなくてもいいのです。世界中が反対しているにもかかわらず捕鯨を続けることは日本の立場を悪くすることでしょう。国際社会から後ろ指を指されるような行為に無垢な子どもたちが知らないうちに加担するようなことがあってはなりません。日本政府は世界の人々の環境保護への願いを真摯に受け止めるべきです。クジラの生態調査は殺さなくてもできます。彼らのように知能の高い生物を殺すことは残酷なおこないだと、どうか日本の人々に気づいて欲しいのです」

 食料自給率が四〇パーセントで、食糧不足の危機はつねにある国を飽食と言ったり、捕鯨に反対しているのは食料供給のために水産資源に依存する必要性が低い欧米諸国が中心であることを失念していたり、どうもこの駐日大使は日本と世界についてよく知らないようだった。 

 わー、パチパチパチパチ。

 それでも中年女性によるスピーチが終わると周りから拍手が起きた。
 一人の男がひときわ感激して話しかける。

「素晴らしい演説でした。日本人が捕鯨・食鯨という野蛮人の風習を捨てられないどころか、それが日本の食文化だなどと言って開き直る人がいるだなんて、同じ日本人として恥ずかしい!」
「あなたのように過ちに気づく人を増やすのが私の役割です。日本人の精神はいまだに鎖国していると言えるでしょう、こうしてハロウィンという欧米の文化に接する機会をもっと
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