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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 2
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ったのだ。国を思っての発言のなにが悪い!」
「顔が悪い」
「頭が悪い」

 魔女とカラスの声が重なる。

「ぐ、ぐぬぬ……」

 乱入者たちの非礼さに浩木は恐れも忘れて憤然としたが、すっ裸に毛布だけという格好では怒ったところで迫力もありはしない。

「産めよ増やせよ。ですって? 女は鶏舎で卵を産ませる養鶏なんかじゃないのよ」
「……しかし愛国者ってのはよほどもうかる商売らしいな」

 寝室に飾られている絵画や陶磁器の類がどれもそこそこ値の張る代物であることを見抜いた。もっとも今やそのほとんどは魔物たちの手によって見るも無残な姿に変えられていたのだが……。

「たしか議員サマは報酬にくわえて期末手当やら政務活動費やら込みで年収二千万以上にもなるそうだったな」
「そ、そうだが、そこから税金が引かれるし秘書の人件費やら活動費がかさむやらで手元にはほとんど残らないだぞ」
「ぬかせ。さらに費用弁償と称して出勤のたびに一万円も小遣いをもらっているだろうが、この金食い虫め。……これは高いお菓子が期待できそうだな」
「お菓子!?」
「そうだ。俺たちはハロウィンのお化けだからな、お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」
「も、もうじゅぶんしているじゃないかっ!」
「まだまだこんなもんじゃないぞ。おい、そこのでかいの」
「ふがっ?」
「そう、おまえだ。いいか――」

 カラスは首にボルトの刺さったツギハギだらけの大男の肩にとまると、なにか小声で命じた。

「ふがっ」 

 大男は寝室から出て行くと、すぐに荷物を抱えて戻ってきた。
 浩木の目が驚愕に飛び出る。大男の持ってきたのは鋼鉄製の耐火金庫で、二トンはある。人力で動かせるような物ではない。
 大男は金庫を無造作に床に置くと、金庫の扉を思いきり引っ張り、ロック・キーを弾き飛ばして強引に開けてしまった。
 この異様な集団が人ならざる者だとあらためて痛感した浩木は腰を抜かし、反抗の気力を失った。意気消沈する浩木の前で金庫の中身が床に積み上げられてゆく。
 百万円の札束が五十もある。日本やアメリカの国債、株券、預金通帳、不動産の権利書、宝石類や貴金属などなど……。

「『ダークナイト』て映画を観たことはあるか?」
「な、なんだそれは? 知らん」
「ふん、議員サマともなると映画などという庶民の娯楽はたしなみません、というわけか」
「たしかヒース・レジャーがジョーカーの役を演じていた映画よね?」
「そうだ、俺はこの映画の中でも特に好きなシーンが二つある。ジョーカーが鉛筆を消すマジックを披露するところと、同じくジョーカーが札束の山を燃やす場面だ。ここにこんなに火種がある、ちょっとばかし豪勢なたき火でもしてみようか?」
「なにをする気だ、やめろ!」
「やめて欲しいな
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