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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 2
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くちゃとおしゃべりをし、けたたましく笑ったり、急に踊り出すものたちもいた。まるでこの摩訶不思議な空間をみなで漂い流れること自体を楽しんでいるかのようだった。

「なぁ、京子」
「なぁに」
「なんだか俺たちも楽しくなってこないか?」
「……うん、そうかも」
「楽しいよな」
「楽しいわね」
「こいつらの、ハロウィンの毒気にでもあてられたのかなぁ」
「そうかも。次はどこに出るのかしら」
「金持ちや権力者の家が良いな。ウィキペディアや他人の文章を丸写しにした報告書を国に提出したり、都議会で品のないヤジを飛ばすような恥知らずの議員の家とか」
「いいわね、それ。いたずらのしがいがあるわ」

 二人の要望に応えたかのようなタイミングで前方に光の穴が現れ、気の流れが早くなる。またうつし世に出るのだ。
 ふたたび風圧に似た圧力がかかり、魔物たちの間にふたたび期待と興奮が広がる。たちまち百鬼夜行は異界からうつし世へと押し出される。





 他民党の東京都議会議員である浩木一郎は妻と三人の子どもをニュージーランドへのスキー旅行へ送り出したあと、青山学院の女子大生を家にひっぱりこんで、寝室でせわしなく身体を動かしていた。

『Trick or Treat!』

 そこへ突如として魔物の一群が乱入してきたからたまらない。女子大生は金切り声をあげて卒倒し、魔物たちは室内を荒らしまくる。惑乱した浩木は大声を張り上げた。

「おい、妖怪ども。わかっているのか! 私はおまえらバケモノとは身分がちがうんだぞ。東京を、ひいては日本を支配するパワー・エリート様だぞ。こんなことをして無事にすむと思うなよ!」

 そのようにわめいて警備会社に直通するセキュリティ・システムのスイッチを入れようとしたが、顔面に生卵をぶつけられてキングサイズのベッドの上から転げ落ちた。
 醜い中年男性の身体にどこからか毛布がかぶせられる。

「パンツくらいおはきなさい、この好色おやじ」

 マスカレードでつけるようなマスクで顔の上半分を隠した魔女が侮蔑の色もあらわに吐き捨てた。

「見覚えのある顔だぞ。まさか本当にセクハラヤジ議員のお宅に出るとはね、これはちょっと偶然とは思えないな」
 魔女の肩にとまったカラスが浩木の顔をのぞきこんでそう言った。
 少し前、東京都議会で質問していた女性議員に対して『早く結婚しろ』『産めないのか』などのヤジを飛ばした者がいて、海外のニュースでも取り上げられた。
 当初は否定していたものの、騒ぎが大きくなってから発言を認め、しぶしぶ謝罪したのがこの浩木一郎という男だ。
 セクハラ、ヤジという単語に浩木が反応する。

「わ、私は愛国者だ。国を愛しているからこそ少子高齢化を憂い、産めよ増やせよとあのようなことを言
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