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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 2
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『Fuck』などの落書きをしている魔物たちの姿があった。彼らの手にもどこから調達したのか、ペンが握られていた。
「なぁ、ほかにどんないたずらがしたい?」
「えっと、こういうパーティー会場だし、やっぱパイ投げとか?」
すぐ横のテーブルの上にホイップクリームがふんだんに盛られた円形のパイ皿が置いてあることに気づく。
「これ、さっきからあったか?」
「……さぁ」
「ほかになにかいたずらしたいことは?」
「え〜っと、タライ落とし!」
バイ〜ン! 天井から金タライが降ってきて、近くではしゃいでいた小鬼の頭を直撃した。
「…………」
「…………」
「やだ、なにこれ。なんか怖い」
「そうだな、ちょっとどこかに行こうか」
狂騒する魔物たちを祓うのも忘れ、この場を去ろうとした二人だったが――それができなかった。
目に見えないやわらかい壁が京子の前に立ちふさがったのだ。
「なによこれ!」
両手を広げてなにもない空間を押してみると、ゴムのような抵抗を感じた。
あわてて見鬼を凝らして視る。
部屋全体が不可視の天幕におおわれているように、結界が施されているように感じられた。
「まさか、祓魔官が!?」
「え? やだ! 修祓に巻き込まれるだなんて、まっぴらよ!」
百鬼夜行を修祓せんと、祓魔官が結界を敷いた。一瞬そのように思ったが、どうもそういうわけでもないようだった。
そうこうしているうちに出てきた穴とは別の穴が開く。そこにむかって魔物の群れが、百鬼夜行が押し込まれる。京子たちもまた強風に煽られるがごとく穴にむかって吸い寄せられた。
「な――!?」
異界から出る穴と戻る穴。その間に一本の道があり、そこから一歩も出られない。
いつでも下船が可能だった船から急に橋げたをはずされて降りられなくなったような気分。このままどこに運ばれるか皆目見当もつかない。そのような危惧を感じた。
ふたたび異界、闇の中。あの世ともこの世ともつかぬ、暑くもなく寒くもない空間で百体近い動的霊災がひしめいていた。
まわりは夜のように暗いのに、なぜか姿はよく見える。
吸い込まれた時とちがい、気の流れはゆるやかになってはいたが、完全には止まっておらず、そよ風のように流れている。
気の流れのせいなのか、足を動かさなくても自然に身体が押し出される。まるでムービングウォーク。歩く歩道に乗っているようだった。
「ねぇ、なんかこいつら増えてない?」
「ああ、増えてるな。さっきの倍くらいいる」
「増殖でもしたのかしら?」
さきほどのパーティー会場での騒乱はどこへやら、ハロウィン霊災たちはすっかり落ち着いて、そぞろ歩きの雰囲気をかもし出していた。
隣同士でぺちゃ
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