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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 2
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よねぇ」
「海か……、船も良いかもな。鄭和みたく長い船旅を満喫するのも悪くない」
「テイワって?」
「明の永楽帝に仕えた宦官で、遠くまでアフリカ航海して貿易ルートを築いた人物だ。一説によるとその艦隊の一部はアメリカやオーストラリアまでたどり着いたとか」
鄭和の前後七回、三十年間にわたる南海遠征は有名だ。東南アジアからインド洋、アラビア半島、アフリカ東海岸にまでいたった。アフリカの東海岸にある港などの遺跡を発掘すると、当時の中国のお金や陶磁器などの遺物が出てくるという。
鄭和の率いた船団は百隻近い大船に兵士や官吏、さらに通訳、医者、学者など合わせて二万数千人の大所帯で、海賊退治や王位継承争いなどの現地の政治にも介入したが、ヨーロッパ諸国のように遠征した先で略奪だの奴隷狩りだの植民地化だのをおこない、現地の富を搾取するような真似はいっさいしなかった。
もっともこれは鄭和や永楽帝が平和主義だからというわけではなく、海の向こうに植民地を作ろうという発想自体が中国にはなかっただけで、かわりに朝貢を迫ったわけだが。
「それってヴァスコ・ダ・ガマやコロンブスよりも前の話?」
「前の話」
「すごいわねぇ、中国史どころか世界史レベルの偉人じゃない」
「他にも中国には王玄策という国をまたにかけて活躍した人物が――」
「魔女め、滅びなさい!」
突如物陰から消防手斧による一撃が迫る。
「カァッ!」
秋芳カラスがそれを羽で防ぎ、手斧を叩き落とした。羽にわずかなラグが生じたが、凶刃が京子の身に害をおよぼすことはなかった。
手斧をふるった者はと見れば、仕立ての良いスーツを着た中年女性が恐怖と憎悪に歪んだ顔でにらみつけてくる。
「イエスの御名において悪魔よ去れ! 大天使聖ミカエルよ、戦いにおいて我らを守り、悪魔の凶悪なるはかりごとに勝利したまえ。天主の彼を治めたまわんことを伏して願いたてまつる。天軍の総帥、霊魂をそこなわんとて、この世を徘徊するサタンおよびその他の悪魔を天主の御力によりて地獄に閉じ込めたまえ。アーメン!」
「……あのう、それ宗旨がちがうんですけど」
京子があきれ顔でつぶやく。
「おや? この女の顔、見覚えがあるぞ……」
「あ! この人、父親が暗殺されたことで有名な駐日大使よ」
「ああ、あの夫が殺されたあとにマフィアのボスと再婚したことで有名な女性の娘か」
「そうよ、大使の新任式に平服のまま出た駐日大使よ」
「畏れ多くも天皇陛下を始め宮内庁のお歴々が礼装で迎えた式に、平服で現れた駐日大使か」
「日本を舐めてるわよね」
「土御門夜光はおらずとも、その意志を継ぐ陰陽師は数知れず。呪術大国日本を軽んじるとどうなるか、思い知らせてやろう」
「ヒッ!」
不穏な気配を漂わせて迫る魔
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