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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 1
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…」
「だが今の案を聞いて今年のクリスマスが待ち遠しくなった。あと二ヶ月か……」
「二ヶ月くらいくらいあっという間よ。その前に今夜のハロウィンを楽しみましょう」
「そうするか。じゃあ俺たちもパレードでも――」
その時、激しい振動が起きた。
一瞬地震かと思った二人だが、すぐに揺れているのが大地ではないと察した。
地震ではない、大気が揺れている。
否、大気でもない。霊気が、霊脈が震えているのだ。
目の前の空間に亀裂が走る。地震で地面に亀裂が乗じるように、空気以外はなにもないであろう広がりに、ヒビができたのだ。
そこから異質な気が流れてくる。秋芳と京子は幾度となくこのような気に接してきた。瘴気だ。
「霊災!?」
揺れがおさまる。それと同時に、ヒビが割れた。
ぽっかりと空いた黒い穴。むこうにあるはずの路地は、そこからは見えない。穴のむこうに見えるのは夜よりも暗い、濃密な闇だ。
『Trick or Treat!』
ハロウィン定番の科白が闇の中から聞こえてくる。
『Trick or Treat!』
『Trick or Treat!』
『Trick or Treat!』
闇の穴から奇妙なものたちが踊り出る。
最初に現れたのはランタンを手にした光る衣装姿のカボチャ頭。続いて箒を手に持ち黒いローブをまとった老女、夜会服にマントを羽織った紳士、毛むくじゃらの獣人、首からボルトを突き出したツギハギだらけの大男、全身に包帯を巻いたミイラ、道化師、半魚人、腐った死体、牛ほどの大きさの黒い犬、チェーンソーを持ったホッケーマスクの巨漢、鉄の爪をはめた赤緑の横縞セーター男、黒装束のニンジャ、トマホークを持ったネイティブ・アメリカンの木像、案山子男、顔全体が口になっているバレリーナ、血まみれのウェディングドレスを着た新婦、燃え盛るフライパンや三つ又の槍を手にした悪魔、豚の顔をした小男、二メートル以上はある真っ赤なトマト――。
ハロウィンにありがちな衣装をしているもの、なにかの映画に出てきたようなもの、それ以外のなにかなもの、だがいずれも人ではない。
実体化した霊的存在であることが見鬼でわかった。
そのようなものたちが黒い穴から次から次へと現れ、列を組んで行進しだしたのだ。
『Trick or Treat!』
お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!
異形の群れたちは手足を振り上げ、踊るような足どりで進みながら、口々にその言葉を発する。
「なんなのよ、こいつら……」
さしもの京子も異様な集団に圧倒され、たじろぐ。
「ううむ、これはなんというか……、百鬼夜行そのものだな」
秋芳の声にも驚愕の色は隠せない。
万聖節前夜。
ハロウィンの始まりだった。
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