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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
万聖節前夜祭 1
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だが、いよいよもって財力にものを言わせて獲得した感はいなめない。
昔の剣術道場には実力のある者を認めて段位を授ける以外にも、たとえ技量がなくても貴人や主筋など道場主より上の位の人に出す義理許し、裕福な商人が金銭で段位を買う金許しという習慣があったそうだが、こんにちの呪術界にそのような悪習があってはならないことだ。京子はこんど父や祖母にそのことを問い質そうと心に決めた。
遠くから人々の歓声が聞こえる。
メインストリートでは。電球や光ファイバーや発光ダイオーなどをもちいて装飾したフロートに乗ったゲストたちが踊りやパフォーマンスをおこないながら進む、Eパレードが催され、大いに盛り上がっていることだろう。
VIPである龍鳳院宮寺光輝は早々に引き揚げたが、だからといって借り切りをレンタルするわけにはいかない。残された龍鳳院宮寺グループの関係者たちは役得とばかりに夢の国のハロウィンパーティを楽しんでいた。
いま京子がいるのは北欧の森をテーマに造られた緑にあふれた庭園で、ライトアップされた樹々が幻想的な光景を作っていた。
「そこにいるんでしょ、秋芳君。出てきなさいよ」
きれいに剪定され、ブロッコリーのようになったイチイの木にむかって京子が声をかけた。
数拍の間があって、木の上の空間が陽炎のようにゆらいだかと思ったら、そこに一つの風船が浮かんでいた。アヒルをモチーフにしたエターナルランドのキャラの顔がイラストされている。ドレインダックだ。
名前の由来は大の酒好きで、いつも飲んでいるか吐いているからdrainだそうだ。およそ子どもむきではないキャラクターである。
「……いつから気づいてた?」
風船に描かれたドレインダックが口を開く。その声はたしかに秋芳のものだ。
「今朝からあるかなしかの妙な気配は感じてたけど、確信が持てたのはブティックで着替えた時ね。あの時にかすかな気配が完全に消えたの。ううん、『消えた』んじゃなくて外に『出て行った』わ。それで逆にだれかがいる。『視てた』
て確信したわけ」
「なるほど、鋭いなぁ。でもどうして俺だと?」
「あなたくらいしか思いつかなかったからよ。今日という日にこっそり後をつけてまわる、隠形の達人だなんてね。……でも感心したわ、あたしが着替える時にそのままのぞこうとしないで、ちゃんと外に出るだなんて。紳士的ね」
「あたりまえだ、恋人の着替えをこっそりのぞき見して喜ぶような趣味はない!」
「あたしのこと、やっぱり気になってたのよね? 気にしてないようなそぶりなんかして〜、もう、素直じゃないんだからぁ〜。ツンデレ?」
「いやツンデレとか、そういう属性ないから、いたって普通。ノーマルだからね、俺は」
「平然としているようで、やっぱりあたしのことが気になってたのよね?」
「…
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