第65話『青年と老人』
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終夜も気づいた。
「…おいおい、エンドレスとか聞いてねぇぞ?」
「地面の中にはまだまだ居るってことですか…」
最初の数だけだったなら突破は容易であった。しかし、これがエンドレスとなると話は別。体力と魔力が比例している魔術師にとって、消耗戦は苦手分野なのだ。
「逃げる…にしても、もう退路は塞がれてやがる。さすがに一度にこれだけは処理できねぇし、どうするか…」
大勢のゴーレム達に囲まれ、終夜が珍しく焦る様子を見せる。つまり、今の状況はそれだけ悪いということだ。
このゴーレムが実は大人しくて、戦闘には興味ないのであれば良かった。しかし、晴登は既に奴らによって死の片鱗を味わっている。少なくとも、無害な存在ではないのだ。
「全員で一点を集中的に攻めるのはどうっすか?」
「それも悪くないが、今回ばかりは二年生も居る。下手に攻めると、どうなるかわからない」
伸太郎の策も却下となると、いよいよ万事休すと言ったところか。ゴーレム達はジリジリと、円を狭めていく。
・・・もうすぐ奴らの間合いに入る。
「ちょっと黒木、どうにかできないの!?」
「できねぇこともねぇけど、全員巻き込んじまう!」
『『ウゥ…』』グワッ
「「…っ!!」」
ついに、ゴーレム達の拳が空に高々と掲げられた。勿論、それが一度に落ちてくれば無事では済まない。
一か八か、皆を巻き込んででも吹き飛ばそうか──そんな考えが晴登の頭を過ぎった瞬間のことだった。
「──おらよっ!」ドガン
『ウァァ…』ズズズ
「「え…!?」」
今しがた起こった現象を簡潔に説明しよう。
まず、どこからともなく現れた青年。彼は手にしている鋭い太刀で、瞬く間に数体のゴーレムの胴体を斬った──否、斬ったにしては余りに荒い。もはや、ゴーレムを刀で砕いているのだ。"薙ぐ"と言う方が近いだろう。
「こっちだ、お前ら!」
「「は、はい!」」ダッ
ゴーレムを数体倒したことで生まれた退路の外から、彼は手を振ってこちらに呼びかける。千載一遇の好機、一行はその元へ駆け、ついにゴーレムの群れからの脱出に成功した。
「ありがとうございます、助かりました…!」
「礼はいい。とりあえずこっから離れるぞ。まだ走れるな?」
「大丈夫です。えっと、あなたは一体・・・」
「俺はカズマ。安心しろ、お前らの味方だ」ニッ
青年は"カズマ"と名乗り、爽やかな笑みを浮かべた。
*
「ここまで来りゃ平気だろ」
「ホント…ありがとうございます…」ハァハァ
「いや、疲れ過ぎな」
ゴーレムの群れから逃れ
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