ロクでなしども、出会う
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ぎる……」
「こんなイカサマありかよ……」
この犬の行動はあきらかにゴンザレスの命令を受けてのものだ。
周囲からささやかれる非難の声を軽く無視してゴンザレスが勝利を宣言する。
「ぐはははは! でかいほうの勝ち〜、残念だったなぁ、でも勝負ごとに多少の事故はつきものだしな。そうだろ、兄さん。オレの勝――」
秋芳の姿が見あたらない。
「んなな!? どこに行きやがったあの野郎!」
広場にいた全員が全員、競鶏に夢中になっている間に消えてしまった。
そして消えたのは秋芳だけではなく――。
「ご、ゴンザレスさん。金が、金も……、あいつも金も消えちまった」
「な、な、なぁにィィィッッッ!!」
おたがいの賭け金まるごとごっそり、ついでに黒髪黒眼の青年が質草にした学院のローブもなくなっていた。あきらかに秋芳の仕業だ。
こんなにも堂々とした盗みがあっただろうか。
こんなにも間抜けな盗まれかたがあっただろうか。
「あの野郎、なんてふてぇやつだ!」
「ふてぇのはてめぇだ、イカサマ野郎!」
「あえひゃ!」
ローブを質草にした青年の拳がゴンザレスの顔面にヒット。張り倒す。
「そ、そうだそうだ」
「よくも今まで薄汚いイカサマしやがったな」
「うるせー、バレなきゃイカサマじゃねえんだよ!」
「なんだとコンチクショー!」
「あ痛ッ!? やりやがったな!」
「真のアルザーノ人は退かない!」
「勝利かヴァルハラかだ!」
「もういいだろ!」
「殺さないでくれ〜!」
今までたまりにたまった鬱憤が、青年の一撃をきっかけにぶちまけられた。
広場のあちこちで乱闘がはじまり、大混乱と化す。
「スタァァァップ! 女王陛下の名に置いて止まれ、さもないと全員逮捕するぞ!」
衛兵が駆けつけてきてようやく沈静化したが、一〇人以上ものけが人や逮捕者を出す大騒ぎになってしまった。
「っきしょー、ついてねえぜ」
黒髪黒眼で長身痩躯の青年――グレン=レーダスが毒づく。
「あのイカサマ野郎ども、俺がちょーっと引きこもってるうちに、あんなやつらがのさばるとか、世も末だぜ……」
財布の中にはセルト銅貨が数枚。これでは明日の食事はおろか、今夜の食事もままならない。
「腹減ったぁ、ダメだ。今なにか食わないと死ぬ。学園のシロッテはあらかた食っちまったし、どうしよう……」
空腹でふらふらとした足取りになって家路につくと、一軒のパン屋が目に留まった。
できたての香ばしい香りこそしないが、パン特有の匂いは食欲をそそる。
グレンはたまらず店に入った。
「……大きいのが4セルト、小さいのが2セルトか。小さいのをくれ」
「まいどありー」
「な
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