ロクでなしども、出会う
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オレとサシで遊ばないかい」
喧噪に満ちていた広場が、水を打ったように静まり返った。
「あの兄さんついてないなぁ、ゴンザレスのやつに目をつけられちまった」
「見ない顔だが、ゴンザレス相手にバカな真似はしないでくれよ。とばっちりはごめんだ」
そこかしこからひそひそと、そんなささやきが聞こえる。どうもこの男、ゴンザレスというヤクザ者らしい。
街の用心棒気取りで横暴な額のみかじめ料を取り立てているチンピラ。秋芳はそう直感した。
「兄さんここらじゃ見ない顔だけど、ずいぶん稼いだなぁ。どうだい、ここらでもうひと勝負して運試ししようじゃないか。その有り金賭けて。もちろんオレもおなじだけ賭けるよ。兄さんツイてるから勝てばもうけは倍だ。なぁ」
どうも一足遅かったらしい。勝ち逃げはゆるさないつもりだ。
「カードやダイスなんかじゃ物足りないだろう、ここはひとつフェジテ名物競鶏といこうや。勝負は簡単。あの木の下に餌を置くから、先にあの餌に食らいつくのはこの大きなほうか小さなほうか、どっちだ! 先に選びな、好きなほうを選ばせてやる」
「ゴンザレスのやつ、またなにかイカサマするつもりだぞ」
「あの兄さん、今からでも遅くないから早く詫び入れたほうが……」
「じゃあ、小さいほう」
「いいだろう、ならオレは大きいほうだ」
ざわ……ざわ…ざわざわ……ざわ…ざわ……。
「そうこなくっちゃなぁ、さぁ今日一番の大勝負だ。いくぞぉ!」
広場の端に二羽の鶏を置いてけしかける。
けたたましい鳴き声をあげながら疾走する大小の鶏。
「おおっ、せっかくの大勝負だ。近くで見るぞ!」
大金のかかった本日一番の勝負に、広場にいる全員が注目する。もし小さいほうが勝てばかなりの大金が手に入る。だがロドリゲスがおとなしく金を出すとは思えない。さらなる難癖をつけて血を見ることになるかもしれない。
とばっちりは御免だが他人のトラブルには興味がある。どうなることやらと注視する人々の視線の先には大きな鶏を引き離して駆ける小さな鶏の姿があった。
「小さいほうが優勢だぞ!」
小さいぶん体重が軽くて速いのだろうか、秋芳の賭けた小さな鶏がどんどん加速していく。
「こりゃあ小さいほうのぶっちぎりだ、勝ちにまちがいない!」
ゴールである餌に食らいつく寸前。
「ワンッ!」
「コケェーッ!」
突然飛び出してきた犬が先を走る小さな鶏に噛みついた。
「コケェッ! コケッ、コケェェェ……」
憐れ犬の顎に囚われの身となった小さな鶏は抗議の鳴き声をあげてばたつくが、犬はそれを無視してゴンザレスの足下に近寄るとお座りをした。
その間に大きな鶏が餌にたどり着く。
「なんてこった、ひどす
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