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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
京子のお見合い
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!」
 関根勤のような奇声をあげて、のけ反り倒れる龍鳳院宮寺光輝。

「え?」
「え?」×6

 男たちと京子の口から奇しくも同じ疑問符が漏れた。
 光輝はどうも銃をつきつけられた恐怖で失神してしまったらしい。

「……まぁ、いい。これだけの人数がいれば人を一人運ぶのくらいわけはないさ。さて、そこのお嬢さんには悪いがちょいとオレたちにつき合ってもらおうか。人を呼ばれたり騒がれでもしたらこまるんでね。安心しろ、べつに拉致監禁して輪姦そうってんじゃない」

 男たちの間に下卑た笑いの空気が生まれる。
 京子は落ち着いてライドから降りると同時に、素早く印を結び真言を唱えた。

「――オン・マリシ・エイ・ソワカ」

 京子の全身が霞がかったかのようにぼやける。その場にいるにもかかわらず、いないかのように存在感が希薄になり、ともすれば見失いそうなほどだ。
 実体のない陽炎が神格化した諸天。摩利支天の加護による穏形法。だが京子は隠れるためにこの術を使ったわけではない。

「この女、呪術師か!?」
「くそっ、ボディーガードだったのか!」

 動転した男たちが四肢を狙って次々と発砲するも、弾丸は京子の身体をすり抜け、床にあたって弾け跳ぶばかりだった。

「わっ!? あぶない、よせ、やめろ。跳弾にあたるなんてチョーダンじゃないぞ!」

 いくら呪術に長けていても生身で銃に撃たれてはひとたまりもない。
 そのため京子は物理的な攻撃を無効化する呪術をまず最初にもちいたのだ。

「なら、これはどうだ。とり憑け、狂え。急急如律令(オーダー)!」

 男の一人が銃をしまい、かわりに取り出した呪符をぐしゃりと手の中で潰す。すると、にぎった指の隙間から赤い靄が噴出し、一つに固まり異形の姿を現した。
 血のような色の婆娑羅髪を振り乱す、眼孔の失われた巨大な頭部。ずらりとならぶ暗い歯を剥き出して、かん高い哄笑をあげる。
 たんに見た目が恐ろしいだけでなく、その笑い声には人の精神を蝕む、凶悪で禍々しい邪気がふくまれていた。
 呪詛式。
 霊的な抵抗力の低い人間が目の当たりにすれば昏倒し、場合によっては深刻な霊障を負いかねない。
 京子の全身に鳥肌が立ち、身震いした。だが、それだけだった。秋芳とともに危機をくぐり抜け、修練を重ねた今の京子の霊力、胆力は並の塾生を軽く凌駕していた。この程度、どうということもない。

「地より生まれし呪い、主の元に戻りて、燃えゆけ、変えゆけ、返りゆけ」

 くるり、と頭を返した大首が男たちにむけて呪のこもった凶笑を放つ。

「ふわっ、おわぁ、うわ、うああー」
「ひぃっ、うへぁ、あああ、いぎゃああぁ」
「なっ、ぼあっ、ぶあちいぶがぼかばぁ、ぶがぁーっ」

 耳を押さえて地面をころ
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