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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
京子のお見合い
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写真に写る相手の容姿は凡庸で、いかにも名家のお坊ちゃんという感じしかしない。育ちの良さだけは伝わってくるのだが、秋芳の存在を差し引いても異性としての魅力を感じることはできなかった。
「これならまだうちの生徒のほうがカッコいいわ。夏目君とか」
秋芳に出逢う以前、京子は夏目に恋慕の情を抱いていた。
ずば抜けてととのった容姿、女性のような長い黒髪、統制され、裡に秘められていながらなお気高さと峻厳さをかもし出す霊気。
そんな夏目が好きだった。
好きになったきっかけは幼い頃にあったある出来事。だがそれはもう過去の話。今の京子の想い人は一人しかいない。
「秋芳君と夏目君、二人とも全然タイプがちがうわよね。我ながら極端から極端に走ったものだわ。……もし今夏目君から告白されたらどうしよう? 秋芳君がいるから恋人にはなれないけど『今よりもっと親密な』お友達になるくらいなら平気よね……。ふふっ、あんまし仲良くすると秋芳君が嫉妬しちゃうかも」
ガラにもなく漫画じみた恋愛妄想に耽る京子。やっかいなお見合いを前にしての、ささやかな現実逃避だった。
「あ〜あ、ほんっとめんどくさいわねぇ、せっかくの休日がお見合いなんかで潰れちゃうだなんて……」
しばらく妄想に耽ったあと、身上書を投げ出してベッドにつっぷする。憂鬱な日曜が一秒ごとに迫っていた。
東京エターナルランド。
世界でもトップクラスのサービスと人気を誇るテーマパーク。
頭に『東京』とついてはいるが、東京都の地図を見ても載ってはいない。それもそのはず、この巨大なテーマパークは東京湾の東岸。千葉県の西端部に存在しているからだ。
なぜ千葉なのに東京なのかというと、このエターナルランド。親会社はアメリカにあるのだが、アメリカ本国に限らず世界各地のマーケット展開を想定してオープンしている。そのため日本で開園したさい、国際的に知名度の高い『東京』の名を冠したわけだ。
日本の次にフランスで造られた『エターナルランドパリ』も、パリと名がつくにもかかわらず、住所としてはパリには存在しない。
そんな東京エターナルランドの目と鼻の先にヴィクトリア朝様式の壮大かつ豪華な雰囲気のホテルが建っている。
その名も東京エターナルランドホテル。
客室からはエターナルランドの眺望を楽しむことができ『夢と魔法の王国』で楽しんだすてきな余韻にひたりながらくつろぎのひとときをお過ごしいただけます。
というのが宣伝文句のひとつになっている。
そのような夢と魔法のホテルの一室で京子はお見合い相手である龍鳳院宮寺光輝と対面した。
イタリア製のソファに腰を下ろし、英国製のスーツに身をかため、スイス製の腕時計を見につけた光輝は京子をひと目見るなり。
「tres bien!
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