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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
京子のお見合い
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「お見合いぃ〜ッ!?」
陰陽塾への通学途中の車内に京子のすっとんきょうな声が響いた。
「まぁ、なんですか京子さん。そんなはしたない声なんか出して」
「いきなりお見合いなんて言われたら、こんな声も出ます! いきなりなんなんですか、お見合いって!?」
「お見合い。結婚を希望する男性と女性が第三者の仲介によって対面すること。ですよ」
「そんな辞書に載っているような説明じゃなくてっ!」
ひと息入れて呼吸を落ちつかす。
「……お祖母様。あたしと秋芳君のこと、認めてくれてたんじゃなかったんですか?」
「ええ、認めていますとも」
「なら、どうして――」
「ただ先方がどうしても言ってきていましてね。たとえその場で断ってもいいから、せめて一度会うだけは会って欲しい。お見合いの席をもうけてくれって、しつこいのよ。だからするだけしちゃって、ちゃちゃっと断ってしまってけっこうよ」
「ええ、そうしますとも。ええ、もちろん!」
「――ていう話なのよ」
京子は秋芳に見合いの話を打ち明けた。
「そうか、名家のお嬢様となると色々と大変だな」
「なに人ごとみたいに……、あたしがお見合いするのに、あなた平気なの?」
「だって実際に結婚するつもりはないんだろう?」
「もちろんそうよ。……そうだけど、こういう時はもっと動揺して『お見合いぶち壊し作戦』とか、考えたりしないの?」
「あー、なんかそれ、昔の漫画とかにありそうだな……。なぁ、逆に俺に縁談の話があって、見合いをするだけするとして、京子。君は心配か?」
「ぜんぜん、だってあなたが心変わりするはずないもの。あなたの好きな人はあたしよ。未来永劫ね」
「ああ、俺だってそうだ。千年前から好きだったし、千年後も好きでいる。何度生まれ変わっても、この想いは変わらない。だからそれと一緒さ」
「……ん、そうね」
それでも少しくらい動揺してくれると嬉しいんだけどな。
これも乙女心の一種なのか、微妙な気持ちになる京子だった。
夜。
京子は自分の部屋でお見合い相手の身上書を読んでいた。
「龍鳳院宮寺光輝(りゅうほういんぐうじ ひかり)って……、なによ。この冗談みたいな名前、ふざけてるの?」
祖父の代で財を成し、父の代で呪術とも縁のある名家と結婚し、孫である光輝の代でそれら富と名声をさらに盤石のものにすべく、現在もっとも権勢を誇っている倉橋家との婚姻を望んでいる。
つまりは政略結婚。それ以外のなんでもないように京子には思えた。
「趣味はクレー射撃に乗馬にフェンシングって、なんだか昔の漫画に出てくるお金持ちキャラみたいね。齢は二十五歳……。ふ〜ん、この人も一応呪術師みたいだけど、腕のほうはどうなのかしら」
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