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ヘタリア大帝国
168部分:TURN16 南京沖会戦その十
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日本帝国軍は確かに損害を出した。だがそれでもだった。
 中帝国軍も気付けばだ。その損害は。
「うっ、随分とやられたあるな」
「そうある。ビームを凌いでもだったある」
 中国の兄妹が今の自軍を見てモニター越しに話す。
「三割はやられたあるよ」
「またここまでやられたある」
「やっぱりあれね」
 ランファも困った顔で二人に応える。
「機雷原を突破されたせいね」
「そうあるな。あれで流れを掴まれたあるよ」
「全く。してやられたある」
「まだ数は我が軍の方が上だけれど」
 ランファは指揮官の席から立ったうえで言う。その眉を曇らせながら。
「どうしたものかしら」
「こうなったら正面から数を頼りに攻めるあるよ」
 中国妹だった。彼女が提案した話である。
「まだ。何とかいけるある」
「そうね。それじゃあ」
 ランファも中国妹の言葉に頷いた。そうしてだった。
 中帝国軍は一旦集結して日本帝国軍を正面から押し潰そうとする。しかしだった。
 山本はその彼等の動きを見て楽しげに微笑んだ。そのうえでだ。
 田中の旗艦のモニターに出てだ。こう言ったのだった。
「ではじゃ」
「今からあんたのやり方を見せるってのかよ」
「そうじゃ。まず小魚を使う」
 山本の艦隊にあるだ。それをだというのだ。
「それで敵の司令官の艦隊を叩く」
「敵の司令官はランファ提督だにゃ」
 アストロ猫が山本に言ってきた。
「丁度敵軍の先頭にいるにゃ」
「そうじゃ。だからこそじゃ」
「爺さん、あんた何するつもりだよ」
「戦争に勝つ方法の一つは知っとるじゃろ?」
「戦争の?」
「御前さん風に言えば喧嘩じゃな」
 こうも言う山本だった。その右目を悪戯っぽく瞑ってみせつつ。
「喧嘩で相手の数が多いとどうする?」
「そんなの決まってるだろ。頭を潰すんだよ」
 田中は山本の問いにすぐに返した。
「そうすりゃ終わりだよ」
「そういうことじゃ。それではそのやり方を教えてやる」
「そんなに上手にいけばいいけれどな」
「そういかせるのが喧嘩じゃよ」
 山本はまた右手を瞑って見せて言った。
「では見ておるのじゃ」
「ああ、わかったぜ」
 田中もこう返してだ。そのうえで山本のやり方を見た。見ればだ。
 山本は小魚を出して敵軍の先頭にいるランファの艦隊を攻撃した。その攻撃を受けてランファの艦隊は当然ながら損害を出した。特にランファの旗艦が。
「司令!中破です!」
「動きが鈍ります!」
「くっ、まだよ!」
 部下達の報告を受けてもだ。ランファは怯まなかった。そのうえでだ。

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