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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
巫之御子 3
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 ゴボゴボ、ゴボ、ごぼごぼごぼごぼ……。
 水泡の生じる音が耳に鳴り響く。さっきまで水の引かれたプール内で霊災を修祓していた桃矢だが、今は生ぬるい水の中にいた。霊災からのびた触手にからめ捕られ、引きずり込まれてしまったのだ。
 どちらが上か下かもわからない。混乱し、もがくのだが腰に巻きついた触手が容赦なく桃矢の身を締めつけ、ぐんぐんと引っ張る。
 思わず目を開けると、周囲はうす暗く、以外にも水は澄んでいるのがわかった。少なくとも外から見たような、毒々しい緑色をした水ではない。
 数メートル前方にぼんやりと光る楕円形が見えた泡はそちらにむかって上がっているので、そちらが『上』なのだろうか?
 桃矢はふと、あの楕円形が先ほど修祓していた霊災であり、あの光はプールの天井照明ではと思った。
 ほのかに光る楕円形は見る見る遠ざかり、深淵へと沈むにつれ、桃矢の意識も薄くなってゆく……。





 ごと、ごと、ごと――。
 しゃら、しゃら、しゃら――。
 耳慣れない稼働音に水の弾ける音が重なる。
 桃矢の目がゆっくりと開く。
 雲ひとつない青い空が目の前に広がっていた。

「え?」

 おどろいて身を起こし、あたりを見まわす。
 青空の下には緑の海が、青々とした水田が地平線の彼方まで続いている。
 ゆるやかな起伏のある場所には段々畑が作られ、耕された田畑にはカボチャや大根など多くの作物が実っていた。
 金色の菜の花、白い蕎麦の花、赤く実った鬼灯――。
 豊かな色彩が目を楽しませてくれる。
 日本人が田園風景と聞いて思い浮かべる世界そのもの。そんな場所に桃矢はいた。

「……どこ?」

 ごと、ごと、ごと――。
 しゃら、しゃら、しゃら――。
 桃矢の独りごちに応える者はいない。水車が回り、水受け板に汲まれた水が落ちる音のみが響く。
 東京都は渋谷区にあるプールの清掃をしていたら霊気の偏向。瘴気を確認し、巫女クラスの仲間とともに修祓をこころみた。だがその霊災の中からのびてきた触手に捕われ、この美しくのどかな世界に放り込まれてしまった。

「これって夢じゃないよね、現実なんだよね……」

 あまりの展開にしばらく呆然と立ち尽くす桃矢だったが、出口を求め歩き始める。
 水車小屋の中に引きこもり、おとなしく救助を持つことも考えたのだが、どうにも心細い。もっと大きな建物はないか、もとの世界に帰れる道はないか、探してみることにした。
 水田にそって続く道を進む。不思議なことに、なにかが鳴く声も、なにかが動く気配も、まったく感じられなかった。自然豊かな場所にもかかわらず、このあたりには虫や小動物すらいない。
 物音と言えば川のせせらぎくらいだ。
 静かだ。あまりにも静かすぎる。そして作り物のように不自然な
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