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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
巫之御子 3
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望みなら喜んで、この辰巳、お乳を搾っちゃいますぅ」

 二十代半ばだろうか、四人の中では一番年かさで、上品な黒髪を肩まで伸ばした女性だが、その声は妙にハイトーンで幼女のようだった。
 辰巳がその豊かな双丘に自分の手をよせ、揉みしだき始めた。まさか本当にお乳を出すのだろうか? と、その時だった。

「お館様!」

 室内に男の声が響き、女たちの醸し出していた淫蕩な空気に水を差す。

「なんだいジョルジュ。でかい声出して邪魔するんじゃないよ、あたいが子猫ちゃんたちと楽しんでいるのが見えないのかい?」

 ジョルジュと呼ばれた男が平伏するかのような低姿勢で部屋に入って来た。
 土気色の肌に灰色のスーツが陰気臭い、痩せぎすの小男。だがその腹部だけは異様に膨らんでいる。
 中年太りにしても大きい。大きすぎるほどに膨らんでいた。
 まるで餓鬼のように。

「はっ、おそれながら申し上げます。わたくしの眷属たちが桃の童を発見いたしましたので、急ぎ報告に参りました」
「あ、そう」
「な、ちょ、『あ、そう』て、そんな……。温羅さまの祖先に仇なした仇敵。ひいては鬼族の宿敵を見つけたのですぞ!」
「だからなんだい、祖先は祖先。あたいはあたいだよ。……それよりもジョルジュ、あんた人を、人間を喰ったね」
「は!? い、いや、いやその食したのは人というか路上にころがる不浄の物でして……」
「不浄でも清浄でも、とにかく生きた人間を食べたんだろう? おまえの霊気から血肉の臭いがするよ」
「は、はい。ですがしかし直接口にしたのは我が眷属どもでして、わたくしが食べたというわけでは……」
「おなじことだよ。ジョルジュ、あたいたち鬼子党(グゥイヅゥダン)は金持ちや権力者しか相手にせず、庶民に非道な真似をしないのをモットーに掲げる義賊なんだ。盗みはいいけど殺しはご法度だよ」
「は、ごもっとも!」
「ジョルジュ。あんたはそれを、破った」
「…は、ごもっとも」
「あたいにはねぇ、どうにも我慢できないことが三つあるんだ。一つ! あたいになめた口を利くこと。二つ! あたいを甘く見ること。三つ! あたいを馬鹿にすること。そして……、あたいの決めたことを守らないことだよッ!」
「え? いや、そ、それは全部で四つあるのでは……」
「黙りな! 禁口則不能話、疾く!」

 口を禁ずればすなわち話すことあたわず。
 発言を封じられ、陸に引き上げられた魚のように口をパクパクとさせるジョルジュ。

「そして! あたいの揚げ足を取ることだよ!」

 温羅は枕元に置いたあった銃器を手に取ってジョルジュに銃口を向け、引き金を引いた。
 FMG-9。折り畳み式のサブマシンガンが火を吹いた。
 激しい銃声が鳴り響き、ジョルジュの全身がラグにつつまれる。
 連
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