暁 〜小説投稿サイト〜
ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
魔術の国の異邦人 3
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
 ……こほん、ですが入学するには適性があるかの診断を受けてもらう必要がありますし、それに合格しても座学と実技。ふたつの試験がありますわ。なによりも身元の確かな方しか入れませんし、庶民にとっては高額といえる入学金も必要になりますの」
「なら後見人になってくれ。金はなんとか稼いで用意する」
「な、なんでわたくしがそこまでしなければなりませんのっ」
「相手の意思を無視して勝手に呼び出したあげく、路頭に迷わせるつもりか。それがこの国の貴族のすることなのか? 官位や爵位のない平民は動物といっしょで、その日の気分で拾い、その日の気分で捨ててもなんとも思わないのか」
「そこまで言っていませんわ! ……そうですわね、まずは使用人の末席に入れてさしあげますから、住み込みで働かせてあげますわ。そこで貴方の価値を示してくださらない? 信用できると判断したら入学の件を考えてあげますわ」
「いいとも、薪割りでも荷物運びでも芋の皮剥きでも、10フィートの棒を持ってダンジョン探索でもなんでもするぞ。――新しい生活に乾杯だ。……この葡萄酒はさっきのとは別だな。エスプレッソやチョコレートを思わせる香りが完熟した葡萄を感じさせる。ほどよい渋味と余韻の長い軽やかな口あたりが肉料理に合いそうだ」
「まぁ! 奇遇ですわね、わたくしもおなじように思っていましたの。なんならもう一本べつのものもお飲みになるかしら」

 こうして、賀茂秋芳のルヴァフォースでの生活がはじまった。

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ