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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
魔術の国の異邦人 3
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「いったいどこからこんな……。まさか、アポート? あなた、悪魔ではなく魔神だったんですの?」

 ランプの魔神。ジンとも呼ばれ、封印されているランプを磨くことで現れ、呼び出した相手の望む物を魔法の力で取り寄せてくれるという。
 おどろきに目を見張るウェンディの視界に異様なものが映った。
 浴槽の影に毛のない猿のような生き物がじっとこちらを見つめている。

「インプ!」

 インプ。
 暗褐色の肌をした小型の妖魔で、体毛は無くコウモリのような翼とトカゲのような尻尾を生やしている。もっとも低級な悪魔の一種とされ、外道魔術師のなかには好んでこの奇怪な生物を使い魔にする者がいるという。最初にウェンディが呼び出そうとしていた悪魔こそ、このインプのような小悪魔だ。

「コール・ファミリア、で召喚したんですの……?」

 コール・ファミリア。
 あらかじめ契約をしている使い魔を召喚する呪文。使い魔の種類は術者次第で、ネズミや梟といった小動物や自己作成したゴーレムなども遠隔召喚することができる。

「コール・ファミリアってのは、ここに書いてあるやつか?」

 秋芳が手にした本のページをめくって指さす。本の題名は『初心者必読! ゼロからはじめる召喚魔法』。ウェンディが秋芳を召喚する参考にした、初心者向けの召喚魔法書だ。

「あ、あなた。それはわたくしのものですわよ!」

 秋芳に駆け寄り、その手から本を奪う。

「この本だけではありませんわ、ここにある物すべてわがナーブレス家じゃありませんこと? あなたインプを使って……」
「勝手に持ち出したのは悪かったな。だがこうでもしないと飢え死にするところだったんだ」

 そう言ってまたひとくちリンゴをかじる。

「このバスタブもそう。俺は戦後の日本、平成生まれの文明人なんでな。毎日風呂に入って身を清めないと、どうも落ち着かない。綺麗好きなんだよ」
「んまっ」
 
 相手が一糸まとわぬ姿であることに今さらながら思い当たり、赤面する。

「起きて半畳、寝て一畳、天下取っても二合半。なんて言葉があるが、閉じ込められて狭い空間で食事と排泄と入浴をするのは不便極まりない。こんな羽目になったのもそちらのせいだ。一方的に責められる筋合いは――」
「わかりましたわ! わかりましたからまずは身体を拭いてなにか羽織っていただけませんこと? お話は、それからですわ」
「服をもらえるか? 着ていたやつは洗濯してまだ乾いてないんだ」
「ええ、かまいませんわ」
「ありがたい。ではついでに新しい葡萄酒も一本つけてくれないか? これとおなじやつがいい。実に格別の味だ」
「とうぜんですわ。それはナーブレス家が製造している逸品ですもの」
「口にふくんだ瞬間広がるラズベリーのような芳香、凝
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