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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
巫之御子 2
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いう考えが甘いだって? ではなんのための道場なのか、月謝を返せと言いたい。
たしかに見取り稽古という言葉はあるが、本当にただ見ただけのやり方を真似するなど危険極まりない。生兵法は大ケガのもとだ。
だいたい『見ておぼえろ』などと言う者に限って、人に教える能力が無いのではと思う。
嘉納治五郎の講道館柔道がそれまであった無数の柔術流派よりも普及したのは警察に採用されたというだけでなく、体重移動やくずし方と言った、他の道場ではやってくらっておぼえろという部分を論理立てて体系化し、教えるようにしたというところが大きいのだが、それの否定でもある。
「よくもまぁ、そんな殿様商売で道場が維持できるもんだな」
「けっこう有名で、今でも人気があるみたいですけどね」
「まぁ、いい。それよりも今は薙刀だ。さっきも言ったが動きは悪くないのにどうして打ち返さない? 女子が相手だから遠慮してるのか?」
「いえ、女子とか関係なく攻撃が苦手……。ううん、いやなんです。素手で殴られるのだって痛いのに、まして武器なんか使ったらもっと痛い。そう考えると、とてもじゃないですけど攻撃なんてできません」
これは極めてまともな考えだ。普通の人間は人間を攻撃することをためらう。長年格闘技をやっている者でも、ケンカで相手を本気で殴ることはむずかしい。無意識に力をセーブしがちだ。
秋芳は『ならなんでボクシングなんて習おうとしたんだ?』などというツッコはしなかった。桃矢は純粋に強くなりたかったのだろう。華奢ではかなげな外見、その容姿にコンプレックスをいだいていることは想像にかたくない。桃矢は単純に強くなりたかっただけだ。
暴力はいや。これは桃矢の持つ同調能力。精神を共有することで人の気持ちに触れてきた桃矢だからこそ持つ、優しさなのだ。
優しいことは悪いことではない。
(そういえば『強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない』なんて言葉もあったな。はて、だれの科白だったか?)
「あの……、賀茂先生?」
「おお、すまん。ちょっと考え事をしていた。よし、ならばせめて攻撃されない。守りの技を教えよう」
「薙刀の技を知っているんですか?」
「いや、教えるのは薙刀じゃない、反閇(へんばい)の禹歩だ」
「禹歩!? 霊脈をもぐって長距離を移動する帝国式陰陽術の超高等呪術じゃないですかっ!」
「いや、そんな説明口調で驚からなくても」
「いきなり禹歩とか、驚きますよ。ていうか無理です。僕に禹歩を使いこなす霊力はありません」
「霊力がないなら作ればいい。というか今から教える禹歩はその禹歩ではなく、本来の禹歩に近い禹歩だ」
「本来の禹歩?」
「そう。いきなり帝式の禹歩をおぼえろとは言わん。夏王朝の創始者である禹王がもちいたとされる歩行術としての
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