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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
巫之御子 1
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。桃矢は賀茂先生の式神とキ、キ、キ……」
「樹木希林?」
「ちがう! なんでここでジュリーのポスターに愛を叫ぶ婆さんの名前が出てくるんだ!」
「す、すみません。つい」
「賀茂先生の式神とキスしたと言ったな。ひょっとしてそれが原因じゃないのか?」
「う〜ん、たしかに今までしたことのない変な同調をしましたけど、別にそれは関係ないと思います」
「私たち緋組拾参番隊のメンバーを差し置いて他の子とキスするとは、この浮気者っ!」
「浮気って……、相手は僕と同じ男の子ですよ」
「なに? そうなのか……。て、それでもキスはキス。浮気は浮気だ。けしからん!」
「そんなこと言われても……」
「桃矢、さっきの新しい同調というのを、私で試してみろ」

 紅葉はそう言い、手の甲を上にして桃矢の眼前にさし出す。ここに口づけしろというのだ。

「さぁ、早く」

 怒ったように急かす。こうなった紅葉に『いや』とは言えない。桃矢は覚悟を決めた。

「わかりました、でもどうなっても知りませんよ」

 手の甲にそっと唇を落とす。触れるか触れないかの絶妙な間隔――。
 脳内に光が奔り、桃矢の中に紅葉が流れ込んできた。勝ちたいという純粋な想い。けれども他のメンバーにそれを押しつけることの戸惑い、逡巡、焦り、葛藤、誇り、矜持、自身、不安……。
 次の瞬間、二人は一人になっていた。

「な、なんだれは? 今までの同調とはちがうぞ」

 身の内からあふれ出さんばかりの霊気が湧き出し、全身に力がみなぎる。背中からは緑色の光沢をした鳥のような翼まで生えていた。
 身体が軽い。ひょっとしたら飛べるのでは?
 紅葉がそう思うと翼が広がり、ふわりと宙に浮いた。実際の鳥類のような羽ばたきによって発生する揚力によるものではない、呪力による飛翔。

「す、すごい。すごいぞ桃矢! 霊力が上がるだけじゃなくて、空まで飛べるようになんるなんて……」
(なんだか、キスする人によってちがう能力が発現する……。そんな気がします)
「どのくらい飛べるのか、ちょっと試してみるか!」
(だ、ダメです! 危険です! いつ同調が、融合が解けるか、まだちょっとわからないんですよ)
「む、なんだそうなのか……。飛んでる時に解けでもしたらおしまいだな。でも桃矢、この力、すごく面白いぞ! もっと色々調べて、試してみよう!」
(ははは、そうですね……)

 自分に重くのしかかっていた忌まわしい異能の力。それがこんなふうに変化し、受け入れられるだなんて……。
 今日は本当に色々なことがあった――。





 翌日。
「――島根県にある美保神社の氏子は修行中の間、鶏の肉と卵を食べてはいけないという決まりがある。これは美保神社に祭られている事代主という神様が大の鶏きら
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