第八話 一瞬の油断
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うさまでした」
「お粗末さまでした」
「提督、もしよかったらまた食べさせてもらってもいいですか?」
「食堂に誰もいない時ならいいですよ」
「ありがとうございます。では、私はお部屋に戻ります」
「はい。ゆっくり休んでください」
凰香がそう言うと、初霜が席を立って自分の皿を厨房に持っていった後に食堂を出ていく。
初霜が食堂を出ていった後、凰香はポツリとつぶやいた。
「……あの子、多分『初めての食事じゃない』と思う」
「やっぱり凰香もそう思った?」
凰香の言葉に防空棲姫がそう言ってくる。
凰香は頷いて言った。
「ええ。初めての食事だったら『提督が作ったものだから美味しい』なんて言葉は出ない」
初めての食事だったら初霜は『それでも美味しい』というような感想を述べるはずだ。しかし初霜は『提督が作ったものだから美味しい』と述べてきた。それは『以前誰かが作ったものを食べたことがある』ということを意味していた。
凰香は榛名と夕立に聞いた。
「ねえ、初霜ってどのくらいこの鎮守府にいる?」
「それはわからないですけど、少なくとも榛名が建造された頃にはすでにいました」
凰香の言葉に榛名がそう返してくる。榛名が建造された時にすでにいたということは、初霜はかなり長くこの鎮守府にいるということになる。
その言葉を聞いた時雨が言った。
「……もしかして、彼女は古株の艦娘かな?」
「今はまだわからないけど、でも可能性はあると思う。どっちにしろ、私達のやるべきことは変わりないわ。皆も協力して」
「ええ」
「うん」
「はい」
「わかりました」
凰香の言葉に四人がそう返してくる。
それを聞いた凰香は最後の一口を口に運んで、カレーライスを食べ終える。
カレーライスを食べ終えた凰香は食器を厨房に持っていくと、食器を流し台に置いてから防空棲姫の食事のためにドライカレーを作り始めるのだった。
………
……
…
「………提督、これは私達に与えられた罰なのでしょうか?」
食堂から自室に戻る途中、初霜はそうつぶやく。その表情は先ほどとは打って変わって悲哀に満ちていた。
初霜が今言った提督は自分達を虐げ更迭された大車健仁でも、つい先日着任してきた海原黒香でもない。初霜にとって大切な、そして自分達が殺してしまった初代提督のことだ。
そして初霜は『海原黒香の正体』を知っている。
何の因果か、彼女は絶望に暮れる自分達の前に三人の艦娘を連れて姿を現した。これが慰めなのか、それとも罰なのかはわからない。
どちらにせよ、初霜のやることは変わりない。
初霜は悲哀に満ちた表情を消し、強い決意を秘
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