第八話 一瞬の油断
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「提督!凄いです!凄く美味しそうです!見てるだけでお腹が減ってしまいそうです!」
初霜が意外なことに興奮した様子でそう言ってくる。その様子に防空棲姫、時雨、榛名、夕立の四人が苦笑いする。これは宥めても収まりそうにない。
凰香は先によそっておいた白いご飯にカレーをかけ、防空棲姫が食べるための簡単なものを作るために別の器に少しだけよそう。
それでもまだ一人分だけカレーが余っていたので、凰香はまた器を一つ取り出すと、それに白いご飯をよそい上にカレーをかける。それを見た時雨が聞いてくる。
「凰香、それは誰のだい?」
「彼女のよ」
「ああ、なるほどね」
凰香の言葉を聞いた時雨が納得する。
凰香達は人数分のカレーライスを持って食堂に移動する。すると初霜も釣られるように近づいてくるが、一つ多いカレーライスを見て眉を顰めて凰香に聞いてきた。
「提督、なんで一つ多いんですか?」
「あなたの分ですよ。一人分余りましたので。いらないのなら戻しますけど」
「いえ、折角提督がよそってくれたので、ぜひいただきます」
凰香の言葉に初霜がそう返してくる。
凰香は初霜の前にカレーライスを置くと、初霜の向かいの席に着く。その隣に時雨が座り、初霜の両隣に榛名と夕立が座った。
全員が席に着くのを確認すると、凰香は手を合わせる。それに続き、時雨達も手を合わせた。
「「「「「いただきます」」」」」
全員がそう言うと早速初霜がスプーンを持ち、カレーライスをすくって口に運ぶ。
「ふほふおいひいれふ(凄く美味しいです)!」
初霜がはふはふとしながらそう言ってくる。それを聞いた凰香もカレーライスを口に運んだ。
最後の仕上げとして少し煮込んだために水分が飛びトロッとしたカレーのルーに口の中でとろけて甘みを出す玉ねぎにニンジンやジャガイモ、噛むと肉汁が染み出す鶏肉、そしてそれらが混ざり合いながらも米本来の旨味を失っていない白いご飯。
初霜の言う通り確かに美味しくできていた。
時雨、榛名、夕立の三人も同じらしく、美味しそうにカレーライスを食べている。
凰香は美味しそうにカレーライスを食べている初霜に言った。
「お口に合うようで良かったですが、市販のルーを使ってますよ?」
「提督が作ったものだから美味しいんです!」
初霜が笑顔でそう言ってくる。それを聞いた凰香は思わずカレーライスを食べる手を止めてしまった。まさか初霜の口からこんな言葉が飛び出してくるとは思ってもいなかったからだ。
その間に初霜はどんどん食べていき、そして遂に自分の分を完食してしまった。
カレーライスを完食した初霜が皿の上にスプーンを置き、手を合わせる。
「ごちそ
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