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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
巫女学科
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子生徒だよ」
「あ〜あ、女子たちにもみくちゃにされちゃって、まぁ。ハーレム状態じゃない」




 
 話は、少し前にさかのぼる――。
 大正時代のミルクホールを思わせる、上品で落ち着いた模様のレトロな部屋。かすかにただよう香りは白檀だろうか、部屋の様相とあいまって心がやすらぐ。
 ここは陰陽塾の最上階にある塾長室。マホガニー製の机をはさんで着物姿をした年配の女性と烏羽色をした狩衣のような学生服を着た青年が話をしている。
 陰陽塾塾長の倉橋美代と、賀茂秋芳だ。

「巫女クラスで講師をしろと?」
「ええ、そう。あなたのこの間の野外実習。あれがなかなか評判でね、賀茂秋芳になら講師役をまかせても問題ないと判断したの」
「生徒のみなさんには不評だったようですが……」
「大友先生の報告を聞いた講師のみなさんには理解してもらえたわよ、少々奇抜だけれども、実に理にかなった修練だ。て」
 大友先生はいったいどんな具合に報告したのやら。そして講師たちはどんな思惑で理解したのやら。自分達の仕事量を減らして楽するために、そういう流れにもっていってるのではないだろうか? ついつい邪推してしまう。

「そこで今度は巫女クラスを担当してもらいたいのよ、なにも丸一日講師役をしろとは言わないわ。あなたもまだ一応は塾生なんだし。そうね、とりあえず明日からは大友先生の授業にだけは出席してもらって、それ以外の時間は巫女クラスを受け持ってちょうだい」
「なんで大友先生の授業だけは受けるんです? 担任だからですか」
「だってあなた大友先生以外の授業では、穏形して京子さんといちゃついているのでしょう?」

 大友陣。
 陰陽塾の講師で秋芳や京子たちの担任。右足が義足で杖をついている妙な西国言葉を話す男性で、飄々とした言動で周囲をかき回すこともしばしば。
 だがその実力は一流。あなどれぬと見た秋芳は彼の講義の時には京子とおしゃべりせず、黙って授業を受けている。
 秋芳は机の上に置かれた白磁のカップに手を伸ばし、その中身をゆっくりと嚥下してひと息つく。

「……このお茶、美味しいですね。馥郁たる香りに豊潤な味わい、まるで本場の龍井茶のようだ」
「京子さんといちゃいちゃしてるのでしょう?」
「茶の香気が薄くなる時期に沸き立った湯を入れたら茶の香気も吹き飛びますよね。香気のない茶は美味しくない。だから熱さの加減には気を使います」
「京子さんとイチャイチャしてるのでしょう? あら、イチャイチャてカタカナ表記だと、なんだか濡れてるみたいでいやらしい……」
「ちょっと下ネタとかやめてくれます? 年配の女性が口にする下ネタとか、ほんと反応にこまるんですけど!」
「あの子とイチャイチャパラダイスしてるんでしょ?」
「してるけどしてませんー、させてくれない
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