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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 3
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なたの言葉って本心からのものじゃないんでしょうけど。だって天馬はそんなウジウジするタイプじゃないものね」
「京子ちゃん……」
「天馬が小さい時からちゃんとがんばってるの、あたし知ってるんだから」
「あ、そうだ! それだ、それもあった」
「「それって?」」
「京子との思い出だ。おたがいの小さい頃のこと知ってるんだろ? くそっ、うらやましいぜ」
期せずしてハモった京子と天馬の問いかけにも、わずかに眉をしかめてそう述べる秋芳。
「また蒸し返してる……」
「ああ、もっと早く京子に出逢いたかった! そして俺は小一の時にプロポーズして、そのネタで小学校の六年間京子に『あいつあたしにプロポーズしたのよ、うふふ』てバカにされ、 中学校でも三年馬鹿にされ、高校でも三年馬鹿にされ、そして今だに夕食の時に馬鹿にされる……。そんな新婚生活がしたい!」
「んも〜、そんなこと大声で言わないの!」
「ハハッ、本当に仲が良いね。二人とも」

 天馬の顔からうつろな色が消え、いつもの明るい表情がもどる。と、その時――。

 クツクツクツ――。

 秋芳のものでも、京子のものでも、天馬のものでもない、不気味な笑い声が響いた。
 もはや秋芳も京子も『だれ?』とは口にしない。即座に見鬼を凝らして気配を探る。
 妖しい気配は壁から、壁にかかった掛け軸から発せられていた。
 掛け軸には川を流れる舟の姿が描かれている。その舟の上に一人の老人が、例の小さな老人が乗っていた。笑い声はその老人のものだ。
 絵の中の舟が動き、見る見る大きくなる。こちらに、絵の外側へと迫ってきているのだ。本紙いっぱいまで迫ると、舟から老人が降り、『現れ』た。人が、絵の名から抜け出てきたのだ。

「また幻術? もう驚かないわよ」
「クツクツ……、飽きるにはちと早いのではないかな?」

 老人とは思えない、若々しく豊かな情感を感じさせる声。

「ほれ、これはどうじゃ」

 老人の声が京子のすぐ隣から聞こえた。
 いつの間に移動したのか、秋芳がいるはずの場所に老人が立っているではないか。思わず身構える京子の前で、老人の口から耳慣れた口訣が唱えられた。

「禁幻則不能惑、疾く」

 幻ヲ禁ズレバ、スナワチ惑ウコトアタワズ。
 すると老人の姿はかき消え、そこには秋芳の姿があった。

「幻術は二種類ある。その場にないものをホログラムのように作り出すのと、対象の精神に働きかけて、そいつにしか見たり聞こえたりできない幻を知覚させる。今のは後者だ」
「……出会いがしらに人の頭をいじるとか、ここのいやらしい罠とか、もう、ね。趣味悪すぎ。急急如律令(オーダー)!」

 京子の打った木行符はつる草と化して老人を捕らえようと展開し、それを見た老人は金行符を取り出し、金剋木で打
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