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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 3
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眼鏡をかけた童顔の少年。百枝天馬は豊臣秀頼と名乗った。
「……なぜに秀頼? 天馬よ、どうせなりきりするなら秀吉か秀次にしろよ、ここは聚楽第なんだし」
「こらぁ、天馬! 人が助けに来たってのに、なにコスプレなんかして遊んでるのよ。帰るわよ」
「なにを言ってるの、僕……。余は右大臣、豊臣秀頼だよ」
「いや、今『僕』って言ったよな『僕』って。それに口調も普段通りだぞ。なりきるならなりきれよ」
「あはは、演技ってむずかしいね。……僕は秀吉にはなれないよ。彼みたいな天才じゃないからね、僕に
はせいぜい秀頼が関の山なんだ」
どこかうつろな表情で、天馬はそう自嘲する。
「いやいや、堀尾吉晴あたりなら合うんじゃないか?」
「……秋芳君は凄いよね、僕とちがって霊力も知識もけた外れ。京子ちゃんも、倉橋家の跡取りに、『天将』倉橋長官の娘にふさわしい実力者だよ」
「…………」
「ちょっと、いきなりなに言い出すわけ?」
「夏目君は土御門の次期当主としてもうしぶんない天才だし、その土御門の血筋だけあって春虎君は霊力だけならけた違いだし、冬児君も。あの二人って転入してくるまで呪術と無関係の生活してて、見鬼だって後から使えるようになったそうだけど、信じられない。だってプロの呪捜官や鬼をやっつけちゃうんだよ」
これは秋芳が入塾する前に起きた、夜光信者による夏目拉致事件のことを言っている。
「ねぇ秋芳君。この一週間、お祖父ちゃんに頼まれたから何度か僕の勉強を見てくれたよね。どうだった? 僕はプロの陰陽師になれそう?」
「まだ一年の二学期だぞ、そんなこと今からわかるものか。二年以降の実技の成績や、今後の霊力の成長度合いにもよるだろう。だが今の調子で学習し、積み重ねていけば、なれないことはない」
「……呪術って、陰陽術ってやっぱり持って生まれた才能がすべてなのかな? 努力じゃどうにもならない資質ってあるの?」
「ない」
はっきりと、秋芳はそう断言した。
呪術は当人の資質と血筋がものを言う分野とされている。呪術の世界が閉鎖的なのはその象徴であり、呪術者に古くからその道に関わってきた旧家出身の者が多いのも事実だ。
素質、才能、血、遺伝。だがなによりも大事なのは――。
「努力に勝る天才なし。千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす。一に鍛錬、二に鍛錬。三四がなくて五に休養。武にせよ呪にせよ、その道の高みへの近道なんてない。ひたすら修行あるのみだ。さっき俺や京子が凄いとか言ったが、俺達は座して今の実力を身につけたわけじゃないぞ。特に京子は努力っ娘だ」
京子の朝は早い。早朝から禊と呪術の鍛練を日課とし、身だしなみにしても名門倉橋家の娘として恥ずかしくないよう、同年代の女子の倍近く時間をかけている。
身だしなみはある種の乙種呪術
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