MR編
百五十話 盾将軍雲水
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」
確かに、ユウキは恐れているような表情と言うよりも、もう少し違う、どこか不思議そうな、探るような、そんな視線をリョウに向けていた。これは、どういう感情だろう?とアスナが考えているウチにハッとしたようにユウキが駆け出す。
「戻らなきゃ!アスナ、援護よろしくね!」
「あ、うん!ユウキも頑張って!」
遊撃隊に戻るユウキを見ながら、アスナはよし、と腰に手を当てる。突発的だが、十分に戦力はある。ボスの特性もあるので何とも言えないが、勝てるか勝てないか、五部と言った所だが、楽しい攻略になりそうだ。
────
「後衛、空けるぞ、良いか!?」
「遅くなってごめん!了解、行こう!!」
「こっちも何時でも良いぞ!」
大声で前後衛の指揮を執る二人が声を交わし、続けて遊撃隊の指揮官であるキリトが続く。それをきいて大きくうなづいたエギルが、大股で扉の前に出た。
「よし……入室るぞ!!」
大きな金属の擦れるような音とかすかな風と共に大きく扉が開く。完全に開き切る寸前に、エギルを中心とした前衛が、それに続いて遊撃と後衛が一斉に鬨の声を上げて室内へと突撃した。
室内はやや水気の多い場所だった、と言っても蒸し暑いような湿気ではなく、ややひんやりとした空気が周囲を満たし、壁の所々が苔と蔓状の植物に覆われている。大きな円形の床にはどう言う訳か砂利が敷かれ、土がむき出しになり所々には枯れ葉が落ちている。そしてその部屋の中央に……
「なん、だ、あれ……?」
「建物、ッスか?」
ジュンとテッチが思わず戸惑ったような声を上げる。無理も無い、本来建物が存在しない筈のボス部屋のど真ん中に、見まごうこと無き建物が立っていた。
「ねぇお兄ちゃん、あれってもしかして……」
「あぁ、なんでこんなところに在るかは分からないけど……」
その建築物には、この場に居る殆どのメンバーが奇妙な見覚えがあった、どうしてかと言われれば単純な話、それによく似た作りの建物に、その場のメンバー全員が行った事があったからだ。柱が細く、それほど高くない天井と屋根、突きだした縁側、柱の補強用の長押と、見慣れた瓦の屋根、それはどう見ても……
「ありゃ、寺、じゃねぇか?」
「神社、かな……?」
クラインとユウキが言うと同時に、その建物が“動いた”。
「ぅわぁ!?」
「寺が動いてる……!?」
アイリとタルケンの声が殆ど同時に響き、その建物が横にスライドする……否、違う、あの動きは……
「っ、弟君、号令!構えたほうが良いわ!」
「ひえっ!?」
“振り向いている”のだあの大きな寺を“持ち上げた”さらに巨大な何かが、持ち上げたままこちらを向こうとしている……!
「ほう、これは中々……」
「すごーい!あんなの見た事無いヨ!!」
「わわわっ!
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