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レーヴァティン
第二十八話 団長の依頼その八

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「手に負えそうにないんだ」
「怪盗キャスバルと名乗っている」
「あれっ、その怪盗は」
「そうだとな」
「私達も知っていますね」
 源三に正と順一が応えた。
「近頃この島を暴れ回っている怪盗ですね」
「そうだったよな」
「あちこちの領主や聖堂で盗みを働いている」
「怪盗だよな」
「予告をして指定時間通りに盗む」
「どれだけ警護が凄くてもな」
「決して弱い者からは盗まない」
 進太も言う。
「義賊とすら言われていますね」
「そいつのことは知らなかったな」
 久志はその怪盗の話についてはこう言った。
「ちょっとな」
「あれっ、有名人だよ」
 源三はその久志にこう返した。
「最近この島じゃね」
「いや、この世界の情勢や仲間になりそうな奴のことは聞いて調べていたけれどな」
「それでもなんだ」
「その怪盗のことはな」
「調べてなかったんだね」
「ああ、それで耳に入ってたかも知れないけれどな」
 情報収集の時にというのだ。
「けれどな」
「それでも耳に入っただけで」
「覚えてないな」
 そうだというのだ。
「そっちかもな」
「どうでもいいって思ってたんだね」
「盗賊、怪盗のことなんてな」
「僕達には関係ないってことで」
「無視してたのかもな」
 その可能性があるとだ、久志は源三に自分から話した。
「聞いてても」
「それはちょっと甘いな」
 正は源三に答えた久志にこう返した。
「その怪盗がひょっとしたらな」
「外の世界から来た奴だってか」
「その可能性もあるだろ」
「そうか?」
「世界に来る奴も色々だろ」
 それこそというのだ。
「そうだろ」
「それもそうだな」
「だからな」
「怪盗が外から来た連中でもか」
「有り得るぜ」
「それじゃあ」
「怪盗の正体は知らない」
 団長はこのことにはこう答えた。
「しかしだ」
「かなりの腕ですか」
「その様だ」
 実際にというのだ。
「これまで予告状以上に参上してだ」
「必ず、ですか」
「その品を盗んできた」
 そうしてきたというのだ。
「これまでな」
「だからですか」
「卿達に任せたい」
「聖なる鎧の警護を」
「そうしてもらいたい」
「そしてそれが終われば」
「成功しても失敗してもだ」
 どちらにしろ、というのだ。
「卿達を旅に出ることについては」
「認めて下さいますか」
「騎士は約束を違えることはない」
 団長は進太に強い声で答えた。
「決してな、いつも言っているな」
「はい、確かに」
「だからだ」
「拙者が旅に出ることを」
「やはり今が時なのだ」 
 彼が世界を救う為に動そのはじまりのというのだ。
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