暁 〜小説投稿サイト〜
東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 2
[10/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
予見じゃなくて過去視だな」
「過去視って…、秋芳君が今までケガをした所が見えちゃったってこと? あ! あの腕のキズ。前にあたしをかばってくれた時の……」

 犬神を使うはぐれ陰陽師との戦いで、秋芳は京子をかばい左の腕に大ケガを負ったことがある。

「昔の修行や戦いで受けた傷が偶然『視え』ちまったんだろうな。さすが如来眼だ、傷を禁じて跡を消しても、そういうのがわかるとは」
「百戦錬磨ってのは伊達じゃないのね」
「……ああッ!」
「ど、どうしたの?」
「本当はここで『京子、それはちがう。この傷は修行中に自ら負ったもので、敵につけられた傷など一つもない』とか、『幽遊白書』仙水みたく言いたいのに、言ってみたかったのに! 戦闘で負傷したこともあるから言えない! 無念!」
「……変なとこでくやしがるのね、傷は男の勲章。なんじゃないの?」
「勲章と同時に弱さの証でもある。本当に強いやつは傷なんてこしらえないからな。みっともいいもんじゃないよ」
「ふ〜ん」

そんなやりとりをしつつ、秋芳の上着に袖を通した京子はその服に込められた呪力に気がついた。

「……これ、けっこう高い呪が込められてるわね。防瘴戎衣みたい」

 防瘴戎衣とは祓魔官が着用している黒いユニフォームで、呪的防御が施された防具だ。かの土御門夜光が愛用していた黒マント、鴉羽織をモデルに作られたという。

「あらゆる傷害から身を守る呪が込められてある。鴉羽織や紫綬仙衣ほどではないが、並の防瘴戎衣よりも上等だろうな」
(秋芳君の匂いがする、それに温かい。なんだか彼に抱かれてるみたい……。て、いけない、いけない!)

 ぬくもりと匂いが伝わってきて、さっきとは別の意味で赤面しそうになった京子はあわてて気を引き締める。




 
 天馬を探して建物の中へと入る。いくつかの御殿や遠侍(警護の武士の詰所)をまわり、大小いくつかの罠があったものの、もはやそれにかかるようなことはなかった。

「穴の上に幻の床を作って落とそうとするとか、タチが悪いな」
「そうね。でもあたし達の見鬼にかかれば、どうってことないわ」
「広間から宴の騒ぎを聞かせ、踊ってる人の影まで障子に浮かせて開けたら誰もいない。とか、どこのお化け屋敷だよ」
「あれはちょっとゾクっときたわ。あたしひとりだったら怖かったもの」
「たしかにおっかないシチュエーションだよな」
「でもその後が最悪。変な音楽が流れてきて、それを聞くと服を脱ぎたくなるとか、まったくしょうもない……」
「あの曲は『タブー』ていうラテンミュージックだよ。官能的な響きだったろ?」

 そして天守閣のある御殿。御座の間で、二人はついに天馬を見つけたのだが――。

「余は正二位、右大臣。豊臣秀頼である」

 朱金色の豪
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ