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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 2
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を突かれ撃退されたという。

「西洋みたく馬を去勢してたら、こんな作戦もとれなかっただろうな」
「……対人呪術戦の参考になりそうな話ね」
「うん?」
「術のレベルも重要だけど、あつかいかたに注目して、自分の手持ちのカードを組み合わせて戦術を考えるのも大事でしょ?」

 呪術戦は手の内の読み合い探り合い。霊力と霊力の、単純な力のぶつけ合いではない。知っている術の種類に限りがあり、あつかう技術も未熟だったとしても、そういった手札の数やレベル以上に大切なのは手持ちのカードをいかに組み立てるか、呪術戦における『戦術』の重要性のことを京子は言っている。

「そうだな。だが陰陽庁のトップに立とうって人間なら、目先の勝ち負けを左右する戦術よりも、そんなきわどい状況を作らない戦略と政治を重要視する考えをしたほうが良い。小競り合いの処理なんてはこっちに任せとけ」
「あたしは戦術も一流、政戦両略も一流の人間を目指すわ――あ、秋芳君、気をつけて」

 ふと、足を止めて注意をうながす京子。

「あの門のあたり、気がおかしいわ。木気が妙にかたよってる」
「木気か。いつでも金行術を使えるようにして通ろう」
 門をくぐらなければ中には入れない。注意して近づく二人の前でそれは起きた。
 つる草がするすると伸びて緑のカーテンを形作ったかと思ったら、たちまち瓢箪が実った。一つ、二つ、三つ……、何十個もの金色をした黄金の瓢箪が大量にぶら下がり眩い光があたりを照らす。そして銀色の花を咲かし、そこから蜜が漏れだす。甘く馥郁たる芳香があたりをただよう。なんとも幻想的で豪奢な光景だった。
 なにかある。そう警戒していたにもかかわらず、思わず見とれてしまうほどの光景が目の前に広がる。
 その隙を狙ったかのようにつる草がうねり、巻きついてきた

「きゃっ」

つる草は京子の手足に絡まり、そのまま全身を縛り上げようとうごめく。

「白桜、黒楓!」

 呪符が取り出せないので護法式を召喚し、その刃でつる草を切断しようと試みたが、思うように刃が通らない。花からあふれた蜜が潤滑油の効果を発揮して刃を滑らしてしまうからだ。

「むぐぅっ!?」

 つる草が猿ぐつわのように口をふさぎ、言葉を封じる。植物特有の青臭さに混じって妙に甘い匂いが鼻腔を満たす。蜜の匂いだ。すると脳に靄がかかったように意識が混濁し始め、睡魔にも似た心地の良い痺れが全身に広がり――。

「禁毒則不能害、疾く」
「!?」

 目の前に秋芳の顔があった。自分が片腕で抱きかかえられていると気づいた京子はすぐには離れず、秋芳の胸に頭をもたげる。

「……あたし、どうしちゃったの?」
「あの瓢箪の毒気にあてられて、わずかな間だが意識を失ってたんだ。しかし巧妙なトラップだったなぁ。木
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