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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 2
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ね……。それとたぶん呪的な罠もあると思う」
「わかった。……なぁ、どのくらいの距離まで見鬼できるようになったんだ?」

 見鬼。
 霊気の流れや霊的存在を視覚でとらえたり、感じ取る力のこと。いわゆる霊感能力であり『見鬼』というが、かならずしも目で視る必要はない。
 高位の見鬼は通常では見通せないような術理や法理まで見極め、範囲内にあるモノの位置や形状を気で感じ取ることができる。
 見鬼できる範囲や精度など、この能力の強さは個々の才能に大きく左右されるというのが定説になっている。

「んー、半径五〇メートルってとこかしらね」
「なん……だと……、俺の十倍じゃないか!」
「あ、でも秋芳君のほうが細かく視られると思うわよ。あたしのは範囲が広いだけ」
「それでも凄い。現役の霊視官でもそこまで見通せるやつはそうそういないぞ」

 正門から入ることにした秋芳らは馬場を通る。

「あ、かわいい。ポニーがいるわ、子馬かしら?」

馬場にある厩舎の中で何匹かの小さな馬が草を食んでいる姿が見られた。もちろん本物の馬ではない、式神と思われる。

「馬場に馬か、凝ってるな。でもあれ、たぶん子馬じゃなくて成馬だぞ」
「あ、そういえば昔の日本の馬って小さかったのよね」

 時代物の大河ドラマなどに出てくる馬は、大型で格好の良いサラブレッド種が使われているが、時代考証的にはまちがいだ。アラブ系のサラブレッド種は明治時代になって始めて輸入されたもので、それ以前の日本には胴や足が太く、背も低い馬しかいなかった。
 走る速さも遅く、長い距離は走れなかった。日本の馬は平地を駆けるのではなく坂道を登り降りするのが得意だったという。
 源平合戦の一の谷の戦いで、源義経は少ない騎兵で山を越えて平家の陣の背後に回り込み、崖の上からの奇襲に成功したが、あれがサラブレッドだったら足の骨を折ってしまったことだろう。日本の馬だからこそできた作戦だったのだ。
 また、日本の馬は制御しやすいサラブレッドとちがい気性が荒く、オス同士を近寄らせると興奮してケンカを始めるので、あつかいが難しかったという。
 去勢すればおとなしくなるのだが、馬を去勢するという発想も、明治になって西洋から伝わってきたものだ。

「馬で思い出した。これも一応秀吉に関係する話だが、敵の軍にたくさんのメス馬を放つ奇襲作戦なんてのがあってな――」

 秀吉が播磨の別所長治を攻めた時のこと。秀吉の弟の秀長が別動隊数千を率いて別所がたの支城を攻撃した。相手の城にはわずかな兵しかなく、秀長軍は一気に攻め落とそうと押し寄せたのだが、そこへ城内からメス馬数十頭が放たれた。
 当時の軍馬はオス馬ばかりだったため、秀長の軍馬たちは発情し、色めきだってメス馬を追いまわし、制御できず混乱状態になったところ
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