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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 2
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べてるよ」
上杉謙信は梅干しを、織田信長は焼き味噌が好物だったと伝わる。食うや食わずの戦国の世では美食なぞ夢のまた夢。こと食事に関しては贅沢したくてもできなかったことだろう。今では普通に食べられるものも、昔は高級食材だったりもする。たとえば鮭だ。
こんな逸話がある。
毛利元就の四男にして長門長府藩の初代藩主に毛利秀元という武将がいるのだが、その秀元が江戸時代。江戸城に出仕したさいの弁当に鮭が入っていた。この時代、鮭は高級魚であり、まわりの諸大名から「結構なる菜なり、珍し」とうらやましがられ、分け与えるうちに自分の食べる分がなくなってしまったとか。
「その逆にウナギなんて平安時代は大衆魚で安かったが、今じゃ高級魚だしな」
「へぇ、そんな頃からウナギなんて食べてたんだ」
「ああ、万葉集にウナギを詠んだ歌があるぞ『石麻呂にわれ物申す夏痩せに良しといふ物ぞウナギとり食せ』」
「ええと……『夏痩せにはウナギが良いらしいからとって食べなさいと石麻呂さんに言った』」
「――で『痩す痩すも生けらばあらむをはたやはたウナギをとると川に流るな』と続く」
「う〜ん……『どんなに痩せてても生きてればマシなんだから、ウナギを獲ろうとして川に流されないようにね』……なんかずいぶん大らかでのん気な歌ね」
「俺はこの歌を思い出すたびにウナギが食べたくなるんだ。あ〜、また食べたくなった! 白焼きにして味噌つけたやつを肴に酒が飲みたい! もうこれは呪だな、呪の込められた呪歌だな」
「たんにあなたが食いしん坊の飲み助なだけでしょ」
「で、秀吉の話にもどるが、豪姫って聞いたことないか?」
「あ、なんか聞き覚えがあるわ」
「加賀百万石で有名な前田利家の娘で、養女として秀吉に引き取られるんだが、この豪姫が大きくなって宇喜多秀家という武将のもとに嫁ぐ。しかしそれ以降やけに病気がちになってしまい、これは狐の仕業だと吹きこまれた秀吉は怒って伏見稲荷大社に『日本で俺を軽んじるものはいない。まして畜生風情がなめるなよ。早く豪姫から手を引け。さもなくば伏見稲荷大社をぶっ壊して、日本中の狐を狩って根絶やしにするぞ』という内容の文を出すんだ」
「うわぁ……、強気すぎ。てか傲慢ね」
「その恫喝が効いたのかどうか、その後豪姫は病に伏せることはなかったそうな。傲慢っちゃ傲慢だが、押す時に押すのも駆け引きだしな」
出水通りから知恵光院通りへ。模型の作り通りなら、右へ行けば正門へと通じる馬場が、左に行けば豊臣秀次邸と、その先をぐるりと曲がって西門があるはずだ。
「さて、天馬はどこに連れ去られたんだか。建物を虱潰しに調べていくしかないか」
「……このあたりにはいないと思うわ」
「わかるのか?」
「ええ、それとあちこちから変な気を感じるから気をつけて。この感じは式神
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