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ルヴァフォース・エトランゼ 魔術の国の異邦人
魔術の国の異邦人 1
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殺!」
「お、お嬢様。それだけはいけません!」
「冗談ですわ。でもリアルキルとはいかないまでも、社会的に死ぬような目に遭ってどこか遠い塀の中にでも引きこもってくれないものかしら。たとえば――ハッ! あのとき更衣室で仕留めておけば……、わたくしとしたことが、しくじりましたわ」
 
 このロクでなし講師。仕事初日に男子と女子の更衣室を間違えて入るという、最近帝都で流行りの青少年向け小説にありがちなラッキースケベ的なイベントを再現したらしい。

「そう、更衣室……」

 ふいになにかを思いついたかのような表情を浮かべたウェンディは、かしこまっているミーアの後ろにまわった。

「え? お、お嬢様? なにを……ひゃんっ」

 背後からいきなり胸を鷲掴みにされて、おもわず嬌声が漏れる。

「今日、更衣室で女子のみんなでハグハグし合ったんですけど、女の子の身体って癒されますわ〜。はぁ〜ん、こうすると溜飲が下がる気がしますわ」
「はにゃん! はひっ、ひゃんっ! や、やっ! やめて、やめてください、あっ、だめ! お、お嬢様っ、そこは、そこは、ダメ……」
「うふふ、ミーアのここって柔らかくて暖かくて、まるで猫さんをモフモフしているみたいですわ」

 胸といわず、お腹や腰。お尻や太ももまで愛撫する。

(ああ、お嬢様の高貴なお胸が……)

 後ろからのしかかるようにピッタリと密着して体重をあずけているため、背中にふたつのふくらみの感触を感じる。それがなんとも心地良い。むしろこちらが大きな猫にじゃれつかれているようだ。
 従順なメイド少女は踏み込んではいけない禁断の領域へと導かれようとするおのれの意識を必死にこらえる。

「ふふふ、わたくしテレサさんみたいなボン! キュッ! ボン! よりもミーアのようなプルン! プルッ! プルプルン! のほうが好きでしてよ。うふ、うふふふ、にょほほほほほ!」
「ああ、お嬢様! 『にょほほほ』は、『にょほほほ』だけはいけません!」
「……あら?」

 いまにも押し倒そうとしていたウェンディの視界に、机の上、ついさっき怒りにまかせて叩きつけた書物のタイトルが映る。召喚魔法について書かれた魔導書だ。

「ニヤリ、ですわ」
「お、お嬢様。いまなにか良くないことを思いつきましたよね? ですよね? やめてください」
「うふふ、アルザーノ帝国魔術学院では魔術的な事件や事故は日常茶飯事。だれかの召喚した野良悪魔に襲われて怖い思いをすることだって多々ありますわ。嗚呼、不幸!」
「あ、悪魔!? お嬢様、それはダメです! 悪魔の召喚だなんて危険すぎます!」

 悪魔。
 人類の深層意識下で広く認知されている多くの概念、人の持つ様々な感情が具現化した存在。人の意識の向こう側にある『ここではない、どこ
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