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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 1
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プにした、アイドルのような美貌とモデルのようなスタイルをした少女の美しさに、みなが注目している。
だが誰一人として声をかけようとはしない。少女のまとうオーラが、まわりに人を寄せつけないのだ。まるで結界でも張られているかのように、ぶつかったりすれ違いそうになる人も自然に道を開けてしまう。
もとより非凡な霊力と容姿を誇る才媛だったが、如来眼の力に目覚め。数多の呪術をおぼえるうちに自然と身についた自信が、人々にそうさせるのだ。
倉橋京子。
それが少女の名前だ。
「楽しかったし美味しかったけど、歌舞伎見て柳川鍋食べて、て。十代のデートにしてはかなり渋いわよね」
京子が隣を歩く青年にそう声をかける。
短身痩躯で僧侶のような剃髪頭をした青年の名は賀茂秋芳。京子とは好い仲だ。
「まぁ、渋いっちゃ渋いかな。うちの塾生ら、旧家だ名門だといってもみんなまだ若いもんな。ああいうのを楽しめるようになるには年相応の知識と教養が必要だろうし、そのてん俺たちには素養がある」
「あら、だれかさんと違ってあたしは正真正銘の十六歳よ。ま、素養があるのは認めるけど。能や歌舞伎の観劇にはお祖母様のお供でたまに行くし」
「俺だってじゅうななさいだ」
「まだ言ってる」
クスリと笑う。たったそれだけで大輪の花が咲いたかのような雰囲気になる。ローズピンクのリップのみという薄化粧が、美貌をいっそう輝かせていた。
「ねぇ、今日の演目の『鳴神』だけど。こないだのあなたにそっくりだったわ」
「ああ……、言われると思ったよ」
歌舞伎の『鳴神』とは。
朝廷に恨みを持つ鳴神上人という呪術師がいるのだが、この呪術師が竜神を滝壷に封じ込めてしまい、日照りが続く。こまった朝廷は雲の絶間姫という美姫を使わして上人を色仕掛けで落とし、竜神を解き放って雨を降らせる。
だいたいそのようなお話だ。
先日の野外実習のさい、秋芳は京子の美人計に見事にはまり後れを取った。京子はそのことを言っているのだ。
「……ところで、なんであなたさっきから軽く穏形してるの?」
「鋭いな。目立たなくなる程度の薄い穏形で、なおかつずっとそばにいて。よく気の変化に気づいたものだ」
「見くびらないで。始めて会った時のあたしじゃないんだから、そのくらいわかるわよ『士別れて三日なれば、即ち更に刮目して相待すべし』て言うでしょ。ましてやあなたと毎日訓練してるんだから、見鬼だって上達するわ。で、なんで穏形してるのよ?」
「目立つのもやっかみの目で見られるのも苦手なんでね」
そう言って軽く周りを指さす。
「あら、別にいいじゃない『どうだ、俺の彼女はこんなにも美人なんだぞ』て、自慢しなさいよ」
「いい、ガラじゃない。性分なんだよ、俺はずっと影働きしてたからな。注目
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