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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
まぼろしの城 1
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鈍い音がして、老人の顔の中ほどまで太刀が喰い込む。
「どこを狙っておる。儂はここぞ」
クツクツという老人の笑い声が隣から聞こえる。
たしかに斬ったはずの老人がすぐ近くに無傷で立っていた。
「おのれ、あやしの術を!」
武士たちはめいめいに太刀を振るい、老人をめった切りにするのだが、そのたびに老人は消え、また別の場所に姿を現す。それをまた武士が斬り、老人が消えては現れる……。
「きぇーっ!」
「とりゃーっ!」
武士の一人が渾身の気合いとともに打ちつけた太刀が老人の首を刎ねた瞬間、みずからの身にも鈍い衝撃が走る。
「あ!?」
次の瞬間、目の前には首を失った仲間の武士の姿があった。その者の手にした太刀がおのれの身を貫いていた。周りには仲間の死骸がころがっている。
そう、武士たちはたがいにたがいのことを老人と思い、同士討ちをしていたのだ。
幻術である。
いつの間にか老人の幻術にとらわれてしまったのだ。
最後に残った武士も、声にならぬうめき声をあげてこと切れる。
「よく殺す者はよく殺される。武士とは因果なものよ」
真新しい血臭があたりをただよう中で、老人は自分の心境の変化に気づく。
先ほどまで感じていた寂寥感がなくなっていた。どうやら呪術を行使したことで憂いが晴れたようだ。
「……ふむ、やはり儂にはもうこれしか、呪術しか残ってはおらぬ。多くのことにはとうに飽いた故、胸躍ることも少のうなったが、これだけは。術だけは、良い。たとえ幾瀬、幾歳経とうが、どのような姿になり、どのような名で呼ばれることになっても、我が魂は変わらぬ。これこそが、儂なのじゃ――」
老人はそう独語し、クツクツと笑った。
嬉しいような、寂しいような、楽しいような、悲しいような――。そんな笑いかただった。
現代。
日曜日の百枝家、天馬の部屋。
「できた……。ついに、完成した……」
部屋の中央に広げた折り畳み式の座卓の前で、天馬はそうつぶやいた。
声が、震えている。
感動しているからだ。
座卓の上には一抱えではきかない大きさの、巨大な城の模型が置かれている。たった今、自分の手で完成させた。そのことに感動しているのだ。
「最初は無理だと思ってたけど、やればできるんだなぁ……」
亡くなった父親の趣味が模型作りだったこともあり、その影響で天馬はこの手の作りものが好きで、中学まではプラモデルなどよく作っていた。
さすがに陰陽塾に入ってからは勉学にいそがしく、空いた時間にプラモデルを作ることはなくなったのだが、少し前。突然祖父が友人からゆずってもらったと言って、この城の模型を持ち帰ってきたのだ。
その友人は模型を買ったはいいが、説
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