暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ百十一 二条城の会食その九

[8]前話 [2]次話
「約束は守ってこそじゃ」
「天下が治まる」
「まさにその通りですな」
「戦国でもやはり裏切りはよき顔をされませんでした」
「それではですな」
「その通りじゃ、戦国の世でもな」 
 例え裏切りが常であった時でもというのだ。
「誰も松永弾正を信じてはおらんかったな」
「はい、下剋上と裏切りを常とする」
「そうした御仁ではです」
「誰も信じることはしませぬ」
「間違っても」
「ましてや戦国の世を終わらせるつもりならな」 
 その考えならというのだ。
「信を守ってこそじゃ」
「即ち約を破らぬ」
「決してですな」
「だからこそですな」
「右大臣殿は滅ぼさぬ」
「お命を全うしてもらいますか」
「豊臣家もな、そしてじゃ」
 さらに言うのだった。
「一国と確かな城を渡しやがては親藩になってもらうか」
「松平の姓を授けされますか」
「そうされますか」
「うむ、そうしてな」
 そのうえでというのだ。
「幕府の中で生きてもらうか、しかし」
「はい、茶々殿ですな」
「あの方ですな」
「どうしてもですな」
「気になりますな」
「そうじゃ、この度の会食は右大臣殿だけでなくな」
 彼と会い話せたことはよしとしてもだ。
「出来ればな」
「茶々殿ともですか」
「お話をしたかった」
「そうだったのですな」
「やはり」
「そうであった、しかしな」
 それでもとも言うのだった。
「茶々殿は大坂から出られぬ」
「右大臣様以上に」
「そうした方ですな」
「そして何も見えておられずわかっておられず」
「おかしなことを続けられますか」
「それがわかっておるからな」
 だからこそというのだ。
「お会いしたかったが」
「それは適わなかった」
「残念ながら」
「そしてそのことがですか」
「後々にですか」
「響かねばよいがのう、してな」 
 さらに話した家康だった。
「大久保家のことじゃが」
「どうも、ですな」
「伊達家は全て隠した様ですな」
「伊達殿が急に人と交わる様になりました」
「それを見ますと」
「そうであろう、しかし半蔵ならな」
 服部半蔵ならばというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ