第二章 その者、織田久遠信長
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「お客様に関しての疑問はもっともだと思います。しかしながら、私は久遠の妻となれて本当に良かったと思っております」
彼女の笑みを見て「確かに幸せそうだ」と思い、この話しは止めた。すると彼女が食事をこちらにそっと近づけてくれた。
それを確認した俺は箸を持ち、食事についた。
その間、彼女はジッと、静かに食事に入っている俺の事を見ていた。
帰蝶「....」
森羅「....」
しかしそのような事は気にする事ではない。こちらは見知らぬ土地で一週間ぶりの食事なのだ、ありがたく食べるとする。
森羅「....」
帰蝶「....」
食事を済ませた俺は、彼女に礼を言う。
森羅「ご馳走になった。ありがとう」
帰蝶「お粗末さまでした。それではお盆はお下げしますね」
森羅「ああ」
無駄の無い動きで、お盆を下げる帰蝶に俺はこう言う。
森羅「所で久遠はどうしたんだ?俺の防具を返してもらう筈なのだが...」
帰蝶「久遠でしたら、先ほど貴方様の鎧を預けている者の所に行かれておりますので、もう少々お待ちください」
森羅「そうか...分かった。俺も早くここを出て行き、やらねばならない事がある。すまないな」
帰蝶「やらねばならない事とは?」
森羅「君達からすれば大したことじゃない。唯の私事だ」
流石に仇を探しているなどと言えんからな、それにきっと奴は生きている筈だ。今度は必ず狩る...必ずだ。
帰蝶「....では、これにて失礼します」
そう彼女は、空のお盆を持って部屋から出たのを確認して彼は寝る事にした。
しかし、それからして別の気配を感じ取れる。ふむ...精々、四人と言った所か...全く。
【男...もとい森羅side out】
彼がそうしている間、一方久遠は....
久遠「という事で、あの男に鎧を返そうと思うのだが、いいか?権六」
久遠の話に、家臣であり織田の家老の1人である柴田壬月勝家が難色を示した。
壬月「殿、我らに相談もなくそのような事を決定されるとは....」
彼女に続いてもう一人の家臣にして同じく家老...丹羽麦穂長秀も同意見であった。
麦穂「何を根拠にそう決めたのです?私も壬月さまと同意見なのですが...」
久遠「瞳だ。瞳の色、そして瞳の奥に力強い意思が見て取れる。他の者とは違う強さがあるのだ。だから我は奴を信じる」
麦穂「い、意味が分かりませんよ、久遠さま」
久遠「ふむ...貴様等には分からんか。結菜、お前から見て如何であった?」
久遠は戻ってきた帰蝶こと、結菜に問いかける。
結菜「確かに久遠の言う通り、貴方に害を与えようとは考えてい
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