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東京レイヴンズ 異符録 俺の京子がメインヒロイン!
奇門遁甲(乙種)
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生まれの東京育ちだぜ、都会っ子だ」
「よく言うぜ。ま、元武闘派ヤンキーの根性には期待してるからな」
緑にあふれた草原、川のせせらぎ、涼しい風。遠くには筑波山をはじめとした山々が軒を連ねている。大友先生の言葉ではないが、これはたしかに授業というより行楽のようだ。少々汚れるかもしれないが、それはそれで子どもの頃に戻って野遊びをするようで楽しい。春虎がそんなふうに考えていると。
「……不思議だ。俺はずっと前にもこうして野原を、この坂東の地を駆けたことがあるような気がする」
「ん?」
「なんかテンション上がってきたぜ、いくぞ春虎!」
「お、おう!」
二人は目前にそびえる小山にむかい突進をはじめた。
険しい坂を駆け登る。
細縄に足首を取られ吊り上げられる、どこからともなく丸太が飛んでくる、落とし穴にはまる、頭上から泥の塊や網が落ちてくる……。
「ごめん、無理だった」
ボロボロになったジャージの裂け目から肌をのぞかせた春虎が夏目につげる。
「面目ない」
冬児など裸に近い、着ていたジャージはほとんど腰布のようになっていた。
例の接着剤つきトラップを強引に突破し続けた結果、衣類をもっていかれ『クイーンズブレイド』ばりのサービスシーン状態になってしまったのだ。
「さすがにこの格好じゃなぁ」
「いや、俺はマッパでもいけるんだが、春虎のやつがな…」
「おいおいさすがに全裸はヤバイだろ、全裸は」
「わ、わかったから早く着替えて。みみみ、みっともないぞ二人とも!」
赤面した夏目がそう言うも。
「いや、でも着替えとか持ってきてないし」
「俺たちゃ裸がユニフォームってことで」
「『ことで』じゃない!」
わーきゃー騒ぐ夏目らをよそに、一人が席を立った。京子だ。
「……ジャージ代、秋芳君にちゃんと請求しといたほうがいいわよ」
「倉橋さん?」
「京子?」
「倉橋?」
「京子ちゃん?」
「まだ時間はあるわ。あたし、ちょっと行って秋芳君を捕まえてくる」
罠はあらかた発動ずみ。
今の今まで、別に狙って待機していたわけではないが、京子の行く手を阻むような障害はなに一つ残ってなかった。
件の小山の山頂にたどり着く。こちらの見鬼をあざむく程度に穏形すると言っただけに、気配だけはかろうじて感じる。
いる。
すぐ近くでこちらの様子をうかがっているのがわかる。
(問題はどこにいるか、よね。闇雲に符を打ってもあたらないでしょうし、……ちょ〜っとお下品だけど、兵法三十六計のうち、第三十一の計を使わせてもらうわ)
京子はジャージのチャックを襟まで完全に上げてから、前かがみになると、勢いよく上体を反らした。
チャックボーン!
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